閑話)漫画の実写化にまつわる話。
作品の実写化。
熱狂的なファンがいれば、いるほど、忌避されるのが作品の実写化。失敗の例には、枚挙に暇がなく、成功といえる作品は、果たして全体の何%くらいだろうか?
2023年には、あまりにもひどい原作改変により、絶望し、自ら命を絶ってしまった漫画家もいた。原作が脚本も行わない限り、実写化における改変は、不可避にも近い問題だ。
ビジネスライクに考えるなら、実写化されることにより、漫画も売れる。実写に関しては「完全に別の作品」と割り切って、預けてしまうのが、漫画家の精神衛生上も良いのかもしれない。
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『のだめカンタービレ』という作品がある。
フジテレビでドラマ化され、大ヒットしたが、実はこの作品は本来、TBSでドラマ化されるはずであった。千秋先輩役を岡田准一で。
TBSの脚本では、ジャニーズからの要請もあり、主演の、のだめ(上野樹里)よりも、岡田を主役とするような原作の改変が行われ、これに激怒した作者により、待った!がかかり、御破算に。
のだめは、フジでドラマ化されることとなったのだが、TBSは、空いた穴を埋めるのに急ぎで手配した『花より男子』で大ヒットを飛ばしたのだから、結果としてはWinWinか。
ちなみにTBS、フジ、どちらでも、のだめ役が上野なのは、上野の事務所が映像化権を購入していたためだとされる。自社のタレント、俳優を売るために、原作は芸能事務所が買う。このスタイルは、上野に限らず、さまざまな俳優で行われている。
いたよね。「お前は漫画原作専門の主演俳優なのか?」ってのが。そういうことである。
ちなみに『花より男子』の映像化権も、井上真央の事務所が持っていたという話。
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マイナーな作品の場合、ドラマ経由で漫画読むようになるというケースがある。この場合、期待を裏切られることはあまりない。むしろ、ドラマよりもはるかに面白いという場合が多い。
マイナーな作品であるがゆえに、平気で原作が改変され、損なわれているにも関わらず、魅力的な作品なのだから、原作が面白いのは、ある意味で保証付きともいえる。




