男臭すぎる漫画といえば?
『迷走王 ボーダー』
作:狩撫麻礼 画:たなか亜希夫
反資本主義。貧乏こそが美徳とするような、当時でも絶滅危惧種的な男・蜂須賀と、それに付き合う弟分・久保田、浪人生・木村を中心に転がる世相風刺漫画。
原作者の情念が、これでもかと爆発している本作では、狩撫がブルーハーツにハマった日には、一話丸まる、ブルーハーツの歌詞書いて終わりみたいな回があったりするので、唖然とする。
若き日の筆者特有の「安くて太い本」の流れから、本作の極太愛蔵版を手に入れ、コレクションに。本来であれば、出会うはずのなかった作品、価値観で、貴重な読書経験にもなった。
BSまんが夜話でも、本作は取り上げられており、レギュラーのいしかわじゅんは、狩撫麻礼(ほか多数のペンネームあり)とは友人関係でもあったようだ。
狩撫麻礼の原作(土屋ガロン名義)作品では『ルーズ戦記 オールドボーイ』などもあるが、韓国で映画化され、カンヌ映画祭審査委員大賞も受賞している。ただし、脚本は大幅改変され、原作の影は微塵も見えない(どういうこっちゃねん)。
ちなみに、たなか亜希夫といえば、『軍鶏』『かぶく者』なども面白い。
『リバースエッジ 大川端探偵社』は、原作が「ひじかた憂峰」名義になっているが、これも狩撫の別名義で、同一タッグの作品である。




