ヤンキー漫画といえば?
『ホーリーランド』
作:森恒二
これをヤンキー漫画とカテゴライズするかは、実のところ、微妙である。いじめられっ子の主人公が、ボクシングの教則本から、ワン・ツーを覚え、やがて、どんどん不良やアウトローたちの世界に巻き込まれていく、お話。
シンプルなヤンキー漫画というよりも、格闘漫画の性質が強いが、やはりなかなか面白い。主人公はヒョロヒョロだが、作者は183cmのムキムキの巨漢で、プロレスラーと並んでも、遜色のない身体つきで笑う。
『ベルセルク』の作者・三浦健太郎の親友でもあったという、この作者。なぜか三浦の死後、勝手にベルセルクの続きを書き始めちゃったもんだから、ビックリだ。三浦からは今後の構想・展開を聞いており、だいたい分かっている的なことを言っているのを何かで読んだが、細やかな設定資料でもない限り、継続は難しいのではないかな。全然芸風が違うのだし(絵柄は三浦のアシスタントも参加し、一応似せて描いてはいる)。
純粋に好きなヤンキー漫画を挙げるなら、やはり『今日から俺は』などの西森作品となる。あとは実際の「暴力性」とキャラクターのバランスが、偽善化され過ぎていて、感情移入以前の違和感がある(けっこう読みはしたけど)。あまりリアルに描くと、少年誌には絶対に掲載できないから仕方がない話でもあるが(『軍鶏』みたいなのは絶対に無理だろう)。
ちなみにヤンキーの俗称の由来は、1970年代後半のアメリカ北東部、ニューイングランド州にいた白人たちのファッションの模倣から。いわゆる金髪リーゼントであり、現代でヤンキーという名称を使うのは、もはや何の意味も持たないようだ。




