岩明均作品といえば?
『風子のいる店』
ハズレのない漫画家・岩明均。最大ヒット作は『寄生獣』であるが、他の作品もすべていい。
異能モノでいえば『七夕の国』(ネトフリでドラマ化)、時代モノだと『雪の峠・剣の舞』『レイリ(原作のみ)』、アルキメデスが出てくる『ヘウレーカ』、短編集では『骨の音』、現在も連載中のアレクサンダー大王の書記官の物語『ヒストリエ』などなど。
そして、今回紹介するのが、作者初の連載作品であった『風子のいる店』。吃音をかかえる少女の物語。学校に巧く適応できない風子が、喫茶店でウエイトレスをしながら、様々な客と出会ううちに、成長していくという大筋。
現代舞台(といってもこれは80年代の話なのですでに時代モノか)に異能なし。シンプルな設定であるがゆえに、作者の本質が如実な作品。コマは詰まっているが、そこには無数の「行間」があり、この行間がいわゆる「深い」に繋がっているのだろうと、見返しながら感じた。
ついでに筆者が大好きな『ヒストリエ』の話。
現在65歳で、体力的な衰えや利き腕の麻痺の症状が出ている作者。絶対に自分で仕上げたいという意思が、長期休載に繋がっているのだろうが、これはもう作画を『レイリ』のように別のひとに任せた方が良くないだろうか? 脳内ネーム自体は、かなり出来上がっているはずなので、とにかく続きをどんどん読みたいところ。
『寄生獣リバージ』は、広川サイドの物語だが、作者は脚本関与もしていないだろうから、ここでは省いた。