表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

第1話 エミーリエの婚約。

エミーリエは自分の部屋に入って鍵をかけると、靴も学院の制服も脱ぎ散らかす。


姿見の前で仁王立ちになる。


見よ!このすらりと伸びた腕。バランスの取れた長くほっそりとした足。

まあ…胸はそんなに豊かではないが、そのうち大きくなるに違いない。

母に似た流れるような金髪。父に似た濃い青の瞳。


なんか文句あるか?


エミーリエは下着姿のままベッドに倒れこむと、ふて寝を決め込むことにした。



*****


トルデリーゼの乗った馬車がローマン伯爵家に着くと、婚約者のデイーデリヒが迎えに出てくれた。

「ごめんね、トルデ。来てくれてうれしいよ」

デイーが引き寄せておでこにキスをする。手を取られて並んでエントランスに入る。

「…エミーが?どうしたんですの?風邪をひいてお休みってきいておりましたが?」

「うん。それがね…突然侯爵家から婚約解消の申し出が来てね。その日のうちに違約金も振り込まれてきてさ…」

「え?」

「もう3日も部屋から出てこないんだ。家族の呼びかけにも反応しないし…ドアの前においた食事は綺麗になっているみたいだから生きてはいるみたいなんだけどね…で、君を呼んだんだ。友人の君になら、ドアを開けるかと思ってね。」

「まあ…なにか?問題がありましたの?」


伯爵家の応接室に通されると、デイーの両親が待ち構えていた。おろおろしている。

「トルデちゃん!!」

「おばさま、呼ばれてまいりましたわ。何があったんですの?突然、婚約解消なんて。」

「そ、それが…」

「…」

「あの二人、仲良しでしたでしょう?」

「…身長、らしい。」


言いにくそうに、おじさまが教えてくれた。


「え?」

「婚約解消の原因はね、エミーの、高くなり過ぎた身長、らしい。」

「えええええ?そんなことで?」

「どうも、お相手のエーベルハルト君より、大きくなってしまって…そこにヒールだの髪を結うだのしたら…並ぶのが恥ずかしいと…」

「は?」

「あいつんち、両親もそんなに身長高いわけじゃないしな。あの身長以上伸びないかもな。」

デイーが面白くなさそうな悪い顔をして、ボソッとつぶやく。


家族そろってうんうん頷いている。

ここの家は、エミーのお相手のアライダ侯爵家ご家族とは違って、両親ともに背が高い。必然というわけではないのだろうが、私の婚約者のデイーも、もちろんエミーも背が高い。うちは…普通、かな?


「いや、でも…性格、とか…よくある誰かいじめただの、他に好きな子ができたの、じゃなく?並んだ時の身長差?それだけの理由で?」









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ