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合流

私たちがいたのは部屋の天井だった。

そして、そのすぐ後ろには、オオカミではなく蜘蛛のような格好になっているアルゴがいた。

「あいつらなら、行きそうな場所はわかる。封印されていても、どうにか生きていける奴らだ」

「封印されていても、いけそうな場所なんですか?」

「ああ、結界外しのプロがいるからな」

私たちはそれを信じて、アルゴについていくことにした。


30分後、アルゴが案内したのは、私の家だった。

「ここって、実家じゃない。こんなわかりやすい所に…」

「いいから黙ってついてきて来い」

アルゴにすごまれて、私とスピカは一緒に静かになった。


家の裏手にある庭へ入り、物置のすぐ横のすきまで、アルゴは何かをつぶやいた。

とたんに家や物置が巨大化し、私たちは物置の下の隙間へと入って行った。

「ここが、秘密の場所だ」

「アルゴ、ようやく来たか。きみの主人は」

「次元の狭間です。おそらくは時空の支えとして使われているのでしょう」

そこには、お父さんの半の人たちが私たちと同じ大きさで集まっていた。

「もしもの時のために、ここずっとそのままにしておいてよかったね」

女性が言った。

「あ、そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったわね」

使い魔がいなかったりしたが、紹介する時にはちゃんと使い魔も出していた。

「私はイスール・マラーイカ、イースって呼ばれているわ。で、私の使い魔は、この羊」

「ハマルって言います、よろしくお願いします」

「で、私から見て右側から、マルヤハ・アンゲラス、使い魔はアウストラリス。見ての通り、騎士風の戦士よ」

彼らは同時に敬礼をした。

二人とも、かなり鍛えた肉体をしている。

「ラカール・ストール、ラカっていうのがとりあえずの呼び名ね。でもルールとも言われる時があるわ。使い魔は、メデューサの姿を模したミラよ。ここだけの話、この子はあなたのお父さんの初恋の子なのよ」

「えっ」

「あなたのお母さんと付き合う前に、ラカと一緒にいたのよ」

私はそのことを聞いてかなり驚いた。

「それってホント?」

すぐ横で座っていたアルゴに聞いた。

「ああ、本当だよ。だが、彼女じゃなくて、フラを取った。それだけの話さ」

アルゴはけだるそうにあくびを一つした。

フラというのは、私のお母さんの呼び名だ。

「それで、ちょっと離れたところにいる、あの二人は、女性のほうがプレアデス・ケーティーで、男のほうがコグノーメン・トレミー。プレの使い魔はサダルメリクと言って、まあ、見た目は普通の人ね。でも、そこはかとなく、貫禄を感じない?」

「えっと、どう言えばいいか…」

私がどもっている間に、イースが紹介を続ける。

「コグの使い魔は、あそこで帽子かぶっている少女ね。あと、あの帽子取ったら怒られるから気をつけること」

「そうなんですか」

「ええ、私たちの前だとふつうに脱いでくれるんだけどね。さすがに、ね…」

何か秘密があるようだが、気にしないことにした。


私たちの紹介を終えると、すぐにアルゴが起きだし、私たち全員に言った。

「おそらく、主人は、次元の狭間で支えに使われているものと思われます。問題は、どうやってそこに向かうかなんですが…」

「そもそも、次元の狭間って、どこにあるの?」

私たちは、そこまで習っていなかった。

「あの塔を見ただろ。あれが次元の狭間といわれているものだ。あそこには、魔力の源泉たる場所がある。ただし、非常に不安定のため、常時開いておくためには、何かしらの支えがいるんだ。スペシア一族は歴史に載っていないほど昔から、その見張り番をしていた」

私が知らない歴史の数々を聞かされて、何を言っていいのか分からなくなった。

アルゴはそんな私を気にせずに話を続ける。

「本家が潰えてから、その場所自体を封印しようと何度も繰り返してきた。本家はそんなことをさせようとしなかったからな。だが、その幾度の実験もいずれも失敗に終わり、そして1000年前のあの事件が起きた」

「ウルフたちによる気象異常ね」

スピカが言う。

声としては、私の声もスピカの声も今は一緒だから、違いはない。

「そうだ、その時に使われた魔力の総量は、推定不能といわれるほど巨大だった。いったんは魔力の源泉も尽きたと思うほどだった。だから、当時のスペシア一族は、家族会議にて見張り番の役目が終わったことを宣言、それからその場所のことはだれにも伝えなかった」

「でも、校長は知っていたわ。校長はスペシア一族なの?」

「いや、彼が知ったのは、単なる偶然にすぎない。非常に野心家だった彼は、師匠といわれる人につき従いさまざまなところへ旅をした。その中の一つがあの場所だったんだ。師匠の隠し倉庫として使われていたものだったが、そこと魔力の源泉に共通しているものがあった。それが次元の狭間といわれる場所だ」

アルゴの言葉を継ぐように、アウストラリスが話し出す。

「校長がそのことに気付いたのは隠し倉庫に入って1分もたたなかったといわれている。それほどまでに強力な能力の持ち主だったわけだ。そのことをフーエンズに話すと、それを使い、さらに魔力の増強を図るという事を持ちかけた。それを失敗してしまったのが、1000年前なんだ。その時の計画は詳しくは知らないし、知らされることもない。だが、推定だが、隠し倉庫にためられていた魔力と、魔力の源泉から絶えず送られてくる魔力を混ぜ合わせ、魔力の源泉からあふれ出てくる量を増やそうとしていたといわれている」

「結局、全部失敗してしまったんですね」

私がアウストラリスに聞いた。

「ああ、結果的にはそうなってしまった。だが、今回はまだ止める機会がある。それも今すぐなら可能だ」

「…その前に一つ、なんでそんなことを知ってるんですか、いろいろと」

小さくなったデネボラが彼らに聞いた。

「人には秘密っていうのがあるもんさ」

遠い眼をしてつぶやいた。


それから10分もたたない間に、お父さんたちがいそうな場所を調べた。

アルゴが、実家にしまってあった教科書をひっぱり出してきていた。

「あの塔は5層構造になっている。一番上にあるのが、この次元だ。この次元と次元の狭間をつなぐための通路に1人はいるだろう、塔の中に入ってしまえば、それぞれの次元に行き来するのはとても簡単だ。上下層には階段がある。順々に最下層まで辿っていければ全員助けることができるはずだ」

「次元の狭間でいなくなったのは、レオ、スット、フラ、アルヤ、ジェミニだな。ジェミニは双子だから2人で1人となっているようだな。問題はどの層にだれがいるのかというのがわからないっていうことか」

「見つけ次第連れて帰ります、私の家族なんだから」

私はスピカと同時に言っていた。

「そうだな、それにアースの体もなくなってたな。5層のどこかにあるのだろう、それも探しておかないと」

「ならば、行きましょうか。われわれの友人、そして家族を捜しに」

デネボラが全員に言うと、全員一回だけうなづいて、物置の下から出て、次元の狭間に行くために、この次元からの入口がある魔法大学校へ向かった。

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