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1本のワインボトルを飲み干すと、校長が、私たちに彼らを紹介した。

「右から、ワンダー族の族長、ワンダーとその使い魔アクルックス。ローエリ族族長の妻ローエリ・サイバーブと使い魔ムリファイン。その娘、ローエリ・オポルッコスと使い魔ムリフェイン。オンジ族族長のオンジとその使い魔ベガ。フーエンズ族族長であられ、我々の師匠でもあるフーエンズさん。師匠の使い魔であるピーコックだ」

「よろしくね」

私には、オポルッコスだけが、一番普通に見えた。

「ちなみに、師匠は、アンゲールス王国の1400年前の第3王子でもあったお方だ。しかし、魔法と王籍の選択を迫られたとき、王籍を捨てたため、継承権は存在していない」

「そもそも、そんな昔のやつらは、大半が死んでしまっているがな」

フーエンズは、カッカッカッと笑い飛ばした。

「さて、そんな事をしている場合ではない。すでに器は満ち溢れている。つなげることにしよう」

急に真面目な表情になおって、フーエンズが校長たちに指示を始めた。

「薬を彼らに。ジェミニは二人で一人だったな」

「そうです」

校長が注射器に何かを入れた。

すぐにそれが私たちの腕に突き刺さる。

「安心しなさい。単なる麻酔薬です。それでは、いい夢を…」

フーエンズの声が、私をさらなるまどろみへと誘った。


起きた時には、私とスピカだけが、部屋の中にいた。

「さっきと同じ場所…?」

「そうだよ」

私が声に振り替えると、オポルッコスとムリフェインが私たちを見ていた。

「無理を言って、はずしてもらったの。大人たちは、どこかで作業中」

「私たちに何をするつもり?」

「別に?」

彼女たちは、私たちに近づいてきた。

「向こうでは、私は族長の娘として、ずっと格式ばった生活をしていたの。同世代の友人もできなかったし」

「それで?」

部屋の壁を背中に付け、警戒しながら話を聞いた。

「それでね、私と一緒に来てくれないかなって、思ったわけ。私が気に入ったわけだし」

「…もしも断ったら?」

よく見ていたテレビでのセリフを、一度言ってみたかっただけだった。

「…二度とここから出ることはできなくなるわよ。ずっとこの狭い、暗い部屋で、使い魔とずっと一緒。生きているかどうかもわからない状況で、ずっと過ごすことになる……」

「それはやーね」

誰かが言ったような気がした。

だが、その声は、私のものに間違いない。

「あれ…私の声のはずなのに……」

「始まったようね。残念」

オポルッコスが私の姿を見ていたが、私は彼女が確かにみているということが分からなかった。


「扉は開かれた。人柱によりて…」

「師匠、いかがですか」

「うむ、ようやくこれで、行き来が自由にできるだろう…」

私は、空から見ている状態にあった。

鳥になったような感じだ。

「聞こえてる?」

スピカの声だ。

「どこ?」

私は左右を見渡そうとする。

「そのまま聞いてて、アースは、今、スピカの中にいるの」

「どういうこと」

「彼らの計画はこうだったの。時空を飛び越えて軍を送るためには、この部屋を経由させて送るのが一番。この部屋は、5層構造になっていて、一つ一つの層がそれぞれの時空と直結しているの。それが、あの魔法大学校の場所。そして、この部屋は大学校のすぐ下にあった」

「何となくわかった」

私はスピカの体の中にいながら、話を続けた。

「つまりは、その部屋をすべての空間とつなぎ合わせるために、つっかえ棒が必要だった。そのつっかえ棒に選ばれたのが、わたしたちだった…」

「簡単にいえばそういうこと。でも、それだけじゃ、つっかえ棒の役割は果たせない。だから、1000年間待ったの」

「魔力の源泉たるこの場所で、魔力が満ちるのを待つために…」

「そう。そして、アースが"魔力"に分解される直前に、どうにか意識をスピカの中に入れることができた。でも、体は魔力とともに、魔法大学校の空間とほかの空間を開くための扉のつっかえ棒となってしまった」

「じゃあ、どうしよう…」

「ほかの班員を見つけるのが、一番早いと思うんだけど。問題は、その班員たちはどこに飛ばされてしまったのかが、全く見当がつかないということ」

私たちは万策尽きてしまい、どうしようもなくなっていたところに、声を掛けてきた人がいた。

「いや、策ならある」

「その声、まさか…」

振り返ると、アルゴがいた。

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