秘密
私は、気が付くとお母さんにお嬢様だっこされていた。
体の上には、スピカも眠っている。
「あら姫、やっと目が覚めた」
15の乙女のようにいたずらっぽく、お母さんが私に微笑みかけている。
「…終わったの?」
「ええ、全てね」
降ろしてもらって、私は自分の足で立った。
周りでは、他の人たちも倒れている。
だが、意識はあるようで、立ち上がろうとしていた。
「ウルフは敗れた。校長はどこかへと消えただろう。さて、我々も帰るとしよう」
アルゴが、いつも通りの低い良い声で、私たちに言った。
もう、元の学校生活には戻れないだろう。
全ての裏を知ってしまった私だ、これからも、この世界の魔力を調節することにはきっとなるだろう。
でも、どうやって。
泉は壊れた。
魔力だって、う回路があるとはいえ、前のように無制限に使えるようなことにはならないだろう。
私たちが魔法を使えなくなった時、一体どうするのだろうか。
「そんなこと、今考えることかなぁ」
私の頭の中に、声が響いてくる。
スピカの声に間違いはないだろう。
「テレパシー?」
「私はあなたから生まれた。もとをただせば同じ魂よ。それに、私の体の中に入れたし、ね。テレパシーが使えても不思議じゃないわ」
「それで、今考えることじゃないって言ってたよね」
みわが起き上るのを手伝いながら、スピカに聞いた。
「いずれは尽きたとしても、それは今すぐじゃない。それにう回路はかなり巨大なバイパスよ。魔力の源泉自身が破壊されたわけじゃないから、魔力は供給され続けるから、大丈夫」
「今心配するんじゃなくて、後で心配しようっていうこと?」
「心配するのは後回しね。今は、無事に帰れたことを喜びましょうよ。ね」
スピカが言うのももっともだ。
「そうね」
私は思わず声に出していった。
すぐそばにいたクロがびっくりした顔で、こちらを見ている。
「どうしたの」
「ううん、なんでもない」
それは私とスピカだけの秘密。
私たちだけの秘密。