崩壊
泉の階は、すでに床面まで緑の粘液が浸っていた。
「ウルフの人たちはどうしたんだろ」
私がそれを見てぼやいた。
「彼らなら、隔離した。アルゴと協力してな」
デネボラはある後に目配せをしていった。
「ウルフの面々は、我々が死ぬまでは、時間の外に留め置かれる。だが、娘のローエリだけは、それができなかった」
「どうして」
「ローエリは、隔離の時にその場にいなかったからさ。今は、第3階層、彼女の故郷のところにいる」
アルゴは、特に後半の部分を、私にこっそりと教えてくれた。
「まあ、彼らも何らかの方法で出ていくことができるだろうがな」
お父さんが、はっきりとそう言った。
第1階層へ向けて、私たちは、階段を駆け上がることになった。
まずは、泉から第5階層。
第5階層への階段を登りきると、息もつかずに第4階層へ移る。
すぐに、第5階層への階段は、床面が真っ暗になった。
それが第1階層への階段を登りきるまで続いた。
最上階にたどり着くと同時に、先ほどの階段が霧となり、つながりが断たれた。
すると、まるで大きな鉄ハンマーで全身を均質になぐられたような感じで、私は吹き飛ばされた。
すぐに、どこかに連れて行かれるかは分かったが、それを確かめる前に、気を失った。