塔の破壊
部屋は、まだ10人ぐらいは入れそうな感じだった。
だが、窓も扉もないような部屋で、空中に浮かんでいる
「さて、魔力の源泉があふれた今、我々でそれを食い止めなければならない。さもなくば、全ての世界は崩壊するだろう」
デネボラが私たちに言った。
「残りどれくらい残されているの」
私が聞いた。
「ざっと見積もったところで1時間ほどだろう」
「じゃあ、すぐに作業を行おう」
お父さんがデネボラに言う。
それに対して、誰かが聞いてきた。
「作業って?」
「これから、二度と出会うことはないだろう我々は、ここに集ったのにも意味がある。それは、それぞれの階層を分ける作業だ。それぞれの階の階段を破壊すれば、上下へ行き来することはできなくなる。それはつまり、我々が二度とこのようにして出会うことはないということを意味しているが、現状、それしか方法はない」
デネボラが説明をしたことは、要は、この塔の各階層は、それぞれの階層から引きはがされた場所だそうだ。
それは、ゴムのように弾性が常に働いており、引き延ばされたゴムが釘で固定されているような状態らしい。
その釘の部分に当たるのがこの塔らしい。
そして、デネボラは、その作業の全体をその場にいる全員に説明した。
まず、私たち以外の階層の人たちがそれぞれの階層のところに待機しておく。
それから、階段を私たちが駆けあがっていくから、私たちが次の階層に行った時点で、階段を爆破。
そうすると、釘を外したゴムのように、元の空間に強制的に引き戻されるという仕組みになるらしい。
私たちは、最後の第1階層で、最後の仕上げをすることになるそうだ。
ちなみに、塔自体はそれぞれの空間に対する魔力の源泉となっているので、階段を壊した後にバイパスを作り、そこから魔力を通すことになった。
「用意はいいか」
デネボラが、あらかじめそれぞれのところにそれぞれの階層の人を飛ばしてから、残った私たちに聞いた。
無言で、誰もがうなづく。
「よし、では行くぞ!」
デネボラが呪文を唱え、私たちは一瞬で泉の階段のところへ移動した。