復活
沸騰すると、泉からあふれていた魔力が少なくなってきた。
「どうなってるの、私の体は?」
私は、お父さんたちに聞いた。
「今なら外せるだろう。これで、最後だ」
お父さんが言うと、私は使い魔の形のままで体がしまわれている箱に飛びついた。
「"remissio"」
デネボラが呪文を唱えると、箱は跡形もなく溶けた。
そして、魔力の泉と一体化し、元からなかったかのような感じになった。
「じゃあ、これで」
スピカは私にそう語りかけた。
「ううん、これからだよ。私たちは、いつまでも一心同体なんだからね」
そう言い残し、私はスピカの体の中から自然に離れていくのが分かった。
「ひとつの体にはひとつの魂しか入れることができない。使い魔は、限定的に自らの主人の魂を入れることができるが、そう長くはとどめておけない。元の体へ引き寄せられるのは、自然の摂理に沿った当然のことだ」
誰かが、そう言ったのを、確かに聞いた。
「ん…」
目を開けると、心配そうに私を見ていたスピカとお父さん、お母さん、それにレオの顔がすぐに見えてきた。
すぐにそれは安堵の顔となった。
「…私、元に戻ったの?」
顔や手や足をぺたぺた触って感覚があるかどうかを確かめる。
服はあの時のままだから、ぬめっていたが気にするほどではなかった。
「よかったね」
地面に座っていると、後ろからクロたちから声をかけられる。
その時、金属的なものがカランと落ちる音がした。
「…今回もしくじったか」
フーエンズがそう呟いているのが、見なくてもはっきりと分かった。