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3バカ怪奇譚  作者: スナタナオキ
ソイノメ様編
14/21

村井薰の後日談〈ソイノメ様編・完〉

《村井薰の後日談》


 キクっちゃん達と別れた翌日、私はミサちゃんと一緒に夜の森を歩いていた。


「ねえ、ほんとにやるの?」とミサちゃん。


「そうよ。ミサちゃんにしかできない仕事なんだから、頑張ってね」


 私達二人は遠くに光るライトを目指して歩いていた。ライトの方からは複数人の男女の騒ぎ声が聞こえる。どうやらネットで楔山の怪談を見つけ、噂を確かめに来たのだろう。白髪ちゃんと神崎君のように。


 私は彼らにミサちゃんを見せ、怖がらせようと考えていた。しかし、ミサちゃんはこのイタズラに消極的だ。


「可哀想だって。やめましょうよ」


「何言ってんの。あいつらは怖がりたいから来てんのよ。怖がらせるのは人助け。でも私の姿は霊感がある子にしか見えないから、この大仕事はミサちゃんにやってもらうしかないの。あいつらにしっかりトラウマを植え付けて、二度と夜中に出歩けないようにしてね」


「うぅ、頑張ってみるけど、上手くできるかな……」


 二人で話しながら暗い森の中を歩く。幽霊である私には、灯りが無くてもどこに何があるのかが見え、暗くても進むのに困らなかった。それはミサちゃんも同じらしい。


 男女達が何を話しているか聞き取れる位置まで来る。その時、どこからか奇妙な声が聞こえた。立ち止まって(足無いけど)、ミサちゃんに尋ねる。


「ねぇ、なんか変な声が聞こえなかった?」


「え? あの人達の声じゃなくて?」


「ううん、方向が違った。ええっと」


 私は耳を済ませた。やはり小さいが人の声が聞こえる。しかも、それは前方というよりも、上の方から聞こえてくるようだった。


「ちょっとここで待ってて。声の正体を確かめてくるから」


 私はミサちゃんをその場に残し、上空にのぼって声がする方へ近づいていった。


 木のてっぺんが見渡せる位置まで飛ぶ。すると、木の上にくくられている首を見つけた。どうやらこの首が何かを喋っているらしい。


 そういえば、自分以外にもソイノメ様の供物になった人達がいるのだった。この人はそのうちの一人だろう。


 首の顔がよく見えるところまで近づく。その人は、私と同じくらいの年齢の女性だった。なぜか目が真っ赤に染まり、そして、苦しそうに同じ言葉を繰り返し呟いていた。


「カラダ……ヲ……カエセ……カラダヲ……カエセ」




〈ソイノメ様編・完〉

犠牲者の首は菊池達が救います。……たぶん。

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