第1話 異世界召喚! 理想のハーレムを夢見たらまさかの大誤算!?
俺は、平凡な高校生だ。
勉強もスポーツもそこそこ、特に目立つこともない。
恋愛なんて夢のまた夢で、楽しみといえばラノベやアニメに浸ることだけだった。
今日も学校へ向かう途中、ふと立ち寄ったコンビニでラノベを立ち読みしていた。
「異世界でハーレムかぁ……俺も、こんな風に美少女たちに囲まれて冒険できたらな……」
軽くため息をつきながら、俺はページをめくる。
現実では決して叶わない夢だとわかっていても、心は異世界の冒険に憧れてやまない。
だが、そんな日常は突然、大きく変わる。
目の前の景色がぐにゃりと歪み、突如として強烈な光が俺を包み込んだ。
「な、なんだこれ!? 何が起こって……!」
光が収まると、俺は見知らぬ大地に立っていた。
広がる青空、見渡す限りの緑の草原。
そして、目の前に現れたのは、神々しい光を放つ美しい女性――まるで女神のようだ。
「鈴木健太郎よ、ようこそ異世界へ」
「えっ…? これって、もしかして本当に異世界!?」
混乱する俺に、その女神らしき人物は静かに微笑む。
「そうです。あなたには、この世界を救う使命があります。そして、特別な力を授けましょう。どんな仲間でも召喚できる力を」
心臓が高鳴る。
まさか、こんなことが現実に起こるなんて――!
「どんな仲間でも…!? じゃあ、可愛い女の子たちを召喚して、俺だけのハーレムを作るんだ!」
ついそう口にしてしまう。
夢にまで見た状況に興奮を隠しきれなかった。
俺はすぐさま女神にお願いし、召喚の儀式を始めるこした。
「ちょっと、思っていたのと違いますね……まあ、いいでしょう。さっそくはじめますよ」
女神が描いた魔法陣が光り輝き始める。
俺は胸の高鳴りを抑えきれないまま、心の中で祈る。
(俺のハーレムにふさわしい、美少女たちよ、出でよ!)
そして、その瞬間。
眩い光が魔法陣から放たれ、徐々に形が見えてくる。
俺はその姿を期待に満ちた目で見つめる。
だが、光が収まり、そこに立っていたのは……。
「……え?」
鎧を身にまとい、精悍な顔つきをした男性――騎士のようだ。俺の思い描いていたのとはまるで異なる、正反対の存在がそこに立っていた。
「初めまして。私はアルベルト。あなたの召喚に応じました」
アルベルト。
そう名乗る男が俺に向かって深々と頭を下げる。
俺はただ、呆然として立ち尽くす。
「なんで……男が……?」
俺の心は、完全に混乱していた。
求めていたのは、可愛い女の子たちであり、まさかこんな男が現れるなんて想像すらしていなかったのだ。
「えっと……ちょっと待ってくれ! 俺が望んだのは、ハーレムだったんだよ!? 美少女たちが集まるはずだったのに!」
俺は必死に状況を整理しようとするが、アルベルトは真剣な表情で俺を見つめる。
「ご命令を。私はあなたに仕えます」
その冷静な態度に、俺はますます混乱する。
思わず、頭を抱えた。
「くっ……でも、次こそは! 次こそは美少女が来るかもしれない……!」