2話
とても眠い5時間目。
数学の授業だ。
はっきり言って数学は苦手。
つまらないのでなのはの席に目を向ける。
…なのは、寝てる!
爆睡してるよね。かわいい。
「おい!花咲!!起きろー!」
先生の怒号が響く。
長い廊下にも響き渡るような声だった。
「ひぇっっ、ごめんなしゃい、」
なのはが泣きそうな顔で謝った。
それもまたかわいい。
だが、急に叫ばれたので心臓に悪い。
みんな驚いた顔だ。
「あのー、何がありましたか?」
そう言って教室に誰か入ってきた。
あまり見覚えのない人。だけどどこかで見たことがある。
そうだ。校長先生だ。
それに気付いた生徒はざわつきだす。
ワンチャン授業無くなるんじゃない?
先生怒られるのかなー笑
色んな声が混じり合う。
「佐藤先生。なにがあったか事情を聞かせてください。」
数学の佐藤は校長先生にあたふたしながら説明している。
実に滑稽だ。面白い。
「事情は分かりました。花咲さん、授業中に寝るのは良くないですね。ですが普通のことなのであまり気落ちしないでください。
佐藤先生。あなたは他のクラスまで授業を妨害しています。以前にもこんなことがありましたよね?
お話しましょうか。」
笑顔で話しているが目は笑っていない。校長先生は怖い。
廊下を見てみると野次馬かのようにたくさんの先生たちが居た。
佐藤は俯いて校長先生に連れて行かれた。
もぬけの殻になったこの教室。
みんな自由に話し始めた。
なのはの元へ足を運ぶ。
大変だったね。授業潰してくれてサンキュー。
「びっくりした、怖かった」
泣きそうな顔をして私を見てくる。
怖かったね、と頭を撫でてみる。するとたちまち笑顔になった。
「夕希の手って落ち着く。大好き。」
そう言って満面の笑みを見せてくれた。
国宝、いただきました。