1話
騒がしい夏の日。
私は机に突っ伏して寝ていた。
周りは騒々しく喋ったり走り回ったり。
蝉の鳴き声と比べようがないくらいにうるさくしている。
「夕希!また寝ているの?一緒に売店行こうよ。」
そう話に来たのは私の幼馴染み。花咲なのは。
いつも私の隣に来る厄介なヤツだ。
「コラーっ!天海夕希!起きなさい!」
耳元で叫ばれる。
なのははとても声がでかいので鼓膜が破れそうだ。
それになんでフルネーム…
なんで耳元で叫ぶんだよ。とぶっきらぼうに言ってみる。
「夕希が起きないのが悪いの。早く売店行こうよ。私の焼きそばパンなくなったらどうするつもり?!」
知らないよ、そんなこと。一人で行ってきなよ。
「いいから!早く行くよ。」
耳を引っ張られて無理やり連行される。
引きずられながら見えた夏の空はとても青く力強かった。
まるでなのはのようだ。
階段を降り、売店に向かう。
「焼きそばー!焼きそばー!」
お前の頭は焼きそばか。そう言うと、
「私の頭は菜の花!」
、と言い返された。
いや、それでいいのか。お前の頭お花畑かよ。
「なんでもいいの。分かった?」
鋭い目つきに変わった。これ以上何かを言えば身に危険が起こる。
すかさず分かった、と言った。
「焼きそばパン2個くださーい。」
『はいよ。200円ね。』
「ありがとー!」
気がつけば影で見ていた私のそばに彼女が居た。
うぉっ、びっくりした。
「なにしてんの?早く食べるよ。」
また耳を掴まれ教室に連れ戻された。
彼女の力はゴリラ並みであろう。
教室に戻り席に着く。
なのはとは席が離れているので椅子をなのはの席へと運ぶ。
椅子って重い。
「いただきまーす」
いただきます。
なのはは焼きそばパンを2個。私は持参したお弁当を食べる。
「美味しい!本当に美味しい。しあわせー」
本当に焼きそば好きだよね。2個も食べれるの?しかも炭水化物しかないし。
「美味しけりゃカロリーないんだよ。知らないの?」
カロリーがないわけがない。だがそんなことはどうでもいい。
口いっぱいに頬張っている彼女がとても、とてもかわいい。まるで小動物かのようだ。
「私見てないで弁当食えよ!おい!」
機嫌が悪くなると口調が荒くなるのも面白くて笑えてくる。
結局、なのはを見ていたら昼休みが終わった。
つまり。私は弁当を食べそこねた。