9話
あれから家に帰り、倒れ込むように眠った。
完全に寝不足だ。
シャワーを浴び、机にあったバナナを口に放り込む。
身支度をしているとスマホの画面が光った。
なのはからのメールだ。
「夕希。どうしよう、」
そう書かれた文面。
添付されている画像を開く。
なにこれ。と思うと同時に背筋が震えた。
画像に映るのは薬に溢れた机。赤く染まった床。
私はなにも考えずになのはの家へ向かった。
なのはの家は近くはないが歩いていける距離だ。
走ること20分。
ようやく着いた。
なのは、居る?!
声を荒げて呼ぶ。
「夕希、遅いよー!!」
玄関から飛び出してきたと思えば私の袖を掴んで泣いている。
なのは、なにがあったの?帰ってから4時間も経ってないじゃない。
「はぅ、むり。」
なのははそのまま崩れ落ちた。
赤黒い色に染まったブラウスを捲る。
深く切れた腕。
傷は数え切れないくらい無数にある。
海から帰ってからなにがあったのか。
何もわからない。
羽織っていたパーカーをなのはに被せ、鞄を片手に。なのはを背負う。
走って電車に飛び乗り、学校へ向かった。
車内に居た人たちは皆が驚いたような顔をしていたが、それどころではなかった。




