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木戸コウジ(いいお父さんだが、人生に疲れつつある)

名前:木戸コウジ

性別:男

年齢:50歳(6月1日生まれ)

家族構成:8年連れ添った妻とは10年前に事故で死別、

     17歳の長男、12歳の次男アリ

     父親(74)、母親(73)は健在。

出身地:長野県

職業:大学の土木科卒業後、建設業勤務。単一の会社で勤続29年目。

学歴・所属:長野県内の大学卒

身長体重:170cm、72キロ

髪型:前髪が後退しつつある坊主頭

特徴:たった一人の男親として子供の世話を第一に考えている。

   料理を勉強したため手作り弁当が得意。

   成長期・思春期の子供の世話と仕事で疲れ切っている。

   父親が脳梗塞で介護が必要になり、生活の破綻を恐れている。

趣味:音楽趣味に復帰したいと考えて数年になるが、時間が取れないでいる。

特技:過去にはアマチュアバンドでドラムを担当していたが、結婚して以来久しく触っていない

   本当はボーカリストになりたかったが、競争率の低いドラマーになった。

尊敬する人物:ボーカリストの友人、フレディ・マーキュリー、尾崎紀世彦


息子が農家への永久就職をすることを望む田舎臭い両親への反発で、高校時代の早くからロックの道を志した木戸コウジは、すぐに自分のボーカルの才能への不安に襲われる。友人に天才がいたからだ。木戸コウジは彼の才能を大いに評価し、自分は競争率の低いドラマーの道を選択し、その友人を盛り立てることに尽力した。しかし友人は、才能こそ溢んばかりであったが、人間性が最低ラインを大きく下回るがゆえに成功できなかった。夢そのものだった友人が喧嘩で喉を負傷し引退した後、木戸コウジの人生から音楽の二文字は消え去った。2年の浪人の後、大学進学と地元の建設会社への就職を成功させた彼は、愚直な労働者としての人生をスタートさせる。挫折で自信を失った学生生活を送り、その時代に恋人を作れなかった人間にはよくあることだが、彼の結婚可能性は非常に低かった。地方の建設業という業態もそれに拍車をかけた。しかし奇跡的に、古風な両親の線時代的な人脈を利用し、お見合いで結婚した彼は、二人の子宝に恵まれることになる。しかし順風満帆な生活は長く続かなかった。妻が自動車事故で死亡したのだ。木戸コウジの元には幼い子供二人が残された。彼は一念発起した。同情心あふれる昔気質の会社に仕事を減らしてもらうように頼むと、子煩悩な家事を完璧にこなすパパさんに変身したのだ。母親を失った悲しみを気難しさとして解消しようとする子供たちに手を焼きつつ、木戸コウジは日々の生活を完璧にこなしつつあった。ある日、彼は最近始めたSNSで、懐かしい名前を発見する。かつて自分が夢を預けた、ボーカリスト志望の友人が、東京でアマチュアギタリストとして活動していることを知ったのだ。友だち登録しただけで、メッセージが来た。「アナチュアバンドでボーカルをやってみないか」。事情を知っていた長男は、日頃の気難しさが嘘のように感謝を伝え、休日の家事を引き受けてくれ、快く父親を送り出した。東京で友人と再会した木戸コウジは、旧交を温め、中年も終わりつつある今、趣味への没頭について考え始めた。しかし、脳裏にあるのは、まだ一人前には程遠い二人の息子と、去年脳梗塞で倒れて介護が必要になった老いた父親のことばかりである。

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