一度断った幼馴染(好きな人)に攻略されるお話
第一章 ヒロインになりたい!
「ラブコメのヒロインになりたい」
これが私の夢。ずっと貫いてきた鋼の夢。
だが、ひょんな一件でそんな私の夢は壊れる…
なーんてなんやかんやラブコメ展開まっしぐらな一件は起きていない。そんな事件がそう頻度に起こっていてはたまったものじゃない。
いくらフラれるような事件でも、そんな事件すら起きないのが現実の辛いところである。
そう、私、橘 優花はこの17年間彼氏がいたことがないのだ。
「彼氏がいないのはあんたにも問題ある!(もぐもぐ)」
メロンパンを頬張りながらズバッと指摘してくるこの毒舌少女は親友とまでは行かないが程々に仲の良い井口 千尋。
ふわふわ髪のショートボブヘア、サバサバとした性格の反面に身長が140cmとチビなのでギャップ萌としてそこそこ人気がある。名前の由来は親がジ〇リ好きだからだそう。
「えー、、でも上手くいかないんだもん…」
「そんだけ揃えてるのに尽く告白を振るからでしょうが」
「ラブコメではこれを有効活用してるけど私は無理だわ」
「宝の持ち腐れとはまさにこの事だ」
千尋がこういうのにも理由がある。
自分で言うのもなんだが私は割となんでも出来るし見た目もいい方なのだ。
サラサラ黒髪ロングにぱっちり二重、150cmと小柄ながらも裕福な胸、もちもちほっぺと太もも、
勉強は得意ではないが何とか成績は保っている。
趣味はピアノとお菓子作り、運動もバク宙を軽々できる程には得意な方。 幼馴染の年下男子もいる。ただ一つだけ残念なことは、極度のめんどくさがり屋なズボラ女な所。
部屋は足の踏み場も無いし髪を乾かさない事もざらにあるし授業も寝ているし足癖はとことん悪い。
「そんなに条件揃ってて告白も何度もされてるのになんで全部断るかねえ…そんなに奏太くんがいいの?」
「…違うし」
奏太というのは幼馴染の年下男子。長年隠し通して来たのに千尋には何故かバレている。
こんな話を昼休み中だらだらと教室の窓際で喋っていると、何やら出入口の扉側が騒がしい。
二人で興味津々にそちらを見ると、聞き覚えのある優しい声、抱きつきたくなるような体つきの持ち主が扉の前に立っていた
「あ、ゆう!」
「噂をすれば、だね。」
そこに居たのはさっきまで話題に出ていた奏太だった。
「え、そうた?どうしたのこっちの教室まd…」
「好きです!付き合ってください!」
「…え???」
──なんてベタな展開だ。さて、ここは快くOKしてハッピーエンドに…
「ごめんなさい!!」
口から出た言葉は、正反対の言葉だった。




