【コント】私と体重計と食欲と
私と体重計と食欲と
ナ…ナレーション
私…お風呂上がりで髪と身体にタオルを一枚ずつ巻いている
体重計…オーソドックスな体重計のコスチューム
食欲…白いお皿のコスチュームを着ている。お腹にはドラえもんのようなポケット。手には女性の平均身長ほどの大きさのフォークを持っている
ナ(あれは私の体重が50キロを超えて一週間後のことでした)
私「今日こそ体重が減ってますように」
恐る恐る体重計に乗る私
(苦しげな呻き声)
体重計「無理だね。今日は52キロ。過去最高記録だよ!てか重いよ。降りろ」
私「えっ?」
体重計「いいから降りろって!!!」
(私が体重計から飛び降りると同時に踏まれていた体重計がよっこらしょと立ち上がる)
体重計「ったく。大体シュークリームばっか食ってっからそんな鏡餅みたいな体型になんだよ!もういい加減シュークリームから卒業したらいかがっすか?」
私「た、体重計が喋ってる?!!!」
食欲「あの体重計は嘘つきよ。あなたから美味しいシュークリームを取り上げるために嘘をついているのよ」
私「あなたは?」
食欲「見ての通り、(キメ顔)食欲よ!」
私「えーーー?!!!」
ナ(私は、体重計と自分の食欲の声が聞こえるようになったのです)
体重計「いいか、この世で数字は絶対だ。タオル一枚巻いてなお52キロを超えているお前はデブだ。間違いない。間食を控えるべきだ」
私「確かに。これ以上太ったらジーンズが入らないわ」
食欲「でも、ここ最近仕事が立て込んでいてストレスが溜まっているはずよ!(ポケットからシュークリームを取り出しながら)食べてストレス発散しましょ!」
私「シュークリームが私を呼んでいる」
体重計「呼んでねーよ!ってかどっからシュークリーム出てきたんだよ!」
食欲「お風呂前に食べてたやつよ!今消化中なの」
体重計「(私を叩きながら)だから体重減らね〜んだよ」
私「痛い!体重計のくせに生意気よ!あなたは体重計らしく踏まれていればいいのよ」
体重計「あ、俺、そっちの趣味ないんで。これはまあ、仕事っつーか。家業継いでやってるだけなんで……」
(私が体重計の上に乗る)
体重計「…52キロ」
私「その割にはすぐ反応するじゃない!」
体重計「ちげーよ!仕事だよ!俺をそういう風に扱うんじゃねー、この変態が!降りやがれ!」
(食欲がシュークリームを体重計の上に乗せて)
食欲「グラム単位では計れないのね」
体重計「それも違う!俺はもっと重いもの専門なんだよ!てか、人が話してる途中でさっきのシュークリームからクリームだけ取り出して食べるんじゃないよ!」
私「そしてさりげなく私のタオルでクリームを拭かないでくれる?!」
食欲「いいじゃない。みんな違ってみんないい、金子みすずの名言よ」
体重計「おまえトチ狂ってて意味わかんねーんだよ!それはボケなんだよな?食べ物だけじゃなくて笑いにも飢えてるのかよ、おい。なんか怖いよ」
私「でも私が両手を広げてもタオルがズレ落ちてポロリするだけ……」
体重計「やめろ!その恥ずかしい裸体を曝け出そうとするな!てか急に一人芝居を始めるな!俺は(食欲を指差しながら)あのハングリー精神溢れるあいつのボケを拾うので精一杯でタオルまで拾えねーんだよ!察しろ!」
私「……私が体を揺すっても脂肪がブルブル震えるだけなの!!!」
体重計「懲りねーな!てかずれてる!放送出来なくなるぞ!」
食欲「あー、体重計のくせに両手使ってるー」
体重計「あーはいそーですよ。タオルのズレを直すために体重計の本来の設定には存在しない両手を使いましたけど、何か?」
食欲「まー私もなんだけどね、モグモグ」
体重計「おまえはブレないな」
私「じゃあ私も一つ」
体重計「おまえは食うな、太るだろ!」
食欲「あれー?また一個増えてる」
体重計「今食べたからね!53キロ」
私「あれー?また一キロ増えてる」
体重計「今食ったからだよ!てか降りろよ!」
ナ(こうして私はダイエットを始めることになったのでした)