表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【35万PV感謝】罪人令嬢は、二度目の人生でも幸せになれない~誰にも愛されていないと信じたまま、私はまた笑う~  作者: 水無瀬 霧乃
次期公爵、エリナ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

306/351

第306話 すべての責任は、私が背負う

エリナは木箱の上に広げられた王都の地図を指差し、コリンダへ視線を向けた。


「よく聞いて、コリンダ。取引の時間は来週の土曜日の昼四時。場所は王都第三区画にある『アイスティーカフェ』だ」


彼女の声は低く、戦いの前のようなピンと張り詰めた空気をまとっていた。


「土曜の昼下がりは、王都で一番人が出歩く時間帯だ。おまけに第三区画はスラム街に隣接している雑多なエリアで、道も入り組んでいる」


エリナは地図上の特定地点を指先で強く叩く。


「中央区画から距離があるから、騒ぎを起こして衛兵が到着するまで、大体二時間くらいの猶予がある計算になる」


コリンダは腕を組んだまま、赤色の瞳を地図へと落とし、喉の奥で低く唸った。


「衛兵の到着遅延は好都合だが、それは敵にとっても同じ条件だ。オレが今すぐ秘密裏に動かせる帝国の精鋭は、オレを含めて十名。これで足りるか」


コリンダの問いに対し、エリナは黄色の瞳を細めて思考を巡らせる。


「十分だ。でも、敵も馬鹿じゃない。十万金貨という大金を要求している以上、単独で現れるはずがない」


エリナは地図の『アイスティーカフェ』周辺の建物を指でなぞる。


「周囲の路地や向かいの店舗に、武装した伏兵を配置して監視している可能性が極めて高い。だから、私たちも事前に監視網を敷く必要がある」


「オレの部下を周囲に散らせば、外の鼠どもを制圧することは可能だ。だが、問題は店内だな」


コリンダの指摘に、エリナは力強く頷いた。


「そう。警戒されないためには、指定された私一人が店に入るしかない。大勢で乗り込めば、証拠を持った本命は現れずに逃げる」


エリナは両拳を硬く握りしめる。


「つまり、私が店内で取引相手と接触し、同時に店内にいる敵全員の逃走を物理的に阻止して確保しなければならない」


「無茶を言う。狭い閉鎖空間で、いつ刃物が飛んでくるか分からない状況だぞ。お前一人で全員を無力化できる保証はどこにある」


コリンダの声音には、呆れと微かな感嘆が入り混じっていた。


「やるしかないんだよ。私ならやれる」


エリナは一切の怯みを見せず、コリンダの赤色の瞳を真正面から射抜いた。


「コリンダと部下たちは、店の外の包囲と、中から逃げ出そうとした奴らの捕獲に専念して。外のことは全部任せる」


彼女の顔面に、タロシアの次期公爵としての、そして戦士としての強固な覚悟が表出する。


「せいぜい暴け。多少乱暴なやり方をしても構わない。この作戦で生じたすべての責任は、私が背負うから」


その言葉を受信し、コリンダは口角を大きく引き上げ、野性的な笑みを形成した。


「いい覚悟だ、オレの妻になる女よ。その言葉、違えるなよ」


二人の間に、目的を共有する強固な共闘関係が完全に成立した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ