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第1話 断罪の日

やがて断罪の日が来た。


まもなく、罪人として私も法廷に入ることになる。


体格に合わない囚人服を着せられ、貴族の頂に立つ公爵令嬢だった私は、今やただの罪深き罪人に過ぎない。


「本件の犯人、リリスを前へ出せ!」


衛兵に無理やり押し出され、長く闇の中にいた私は、眩暈を覚えるほどの光に照らされた。


裁判は無意味な形式に過ぎない。


準王太子妃の毒殺未遂。


間違いなく万死に値する罪だ。


確約された死刑が、せめて苦しみの少ない死に方を与えてくれるのなら、感謝すべきなのかもしれない。


「やっぱリリスって昔から超傲慢だったよなー」


「さすがに準太子姫にまで手を出すなんて、やばすぎ」


観衆席の学生たちにとって、今日という日は孤高の完璧な令嬢が地に落ちる、格別な余興なのだろう。


けど、反論はできない。


私は確かに、異母姉エリナを毒殺しようとした。


「許してくれ」と言って許される事実ではない。


顔を上げるのが、怖い。


私のせいで傷ついた家族や、殺されかけたエリナ、王子……


かつて私を取り巻いていたすべての視線が、今はただ恐ろしい。


本当に、みっともない自分だった。


あとは、裁きが下されるのを待つだけ。


覚悟はしていたが、それでも恐怖が募る。


「静粛に! 今より、罪人リリスの刑罰を宣告する!」


「王族謀殺未遂の罪により、リリスを庶民へと落とし、火刑に処する!」


火刑……か。


さすがに、楽に死なせてはくれないか。


一瞬で死ねるものではない。


炎に少しずつ蝕まれ、血と肉が焼き尽くされるまで悲鳴を上げながら踊らされる、最悪の見世物だ。


あれが、私に訪れる未来なのか。


十分すぎるほど最悪を想定していたはずなのに、現実として突きつけられた恐怖が一瞬で全身に溢れ出した。


理性を失った四肢は震えを止められず、私は失禁してしまった。


爪を血が滲むほど深く掌に食い込ませても、心の恐怖は抑えられない。


……どうにもならなかった。


なんという無様な姿だろう。


絶望に呑み込まれる私をよそに、審判長は宣告を続けた。


「だが、被害者である準太子姫エリナ様、ならびに母ミカレン様の要請により、火刑を免除し、二十年の禁錮刑とする」


な、なに――!?


あまりの予想外の展開に、私は思わず顔を上げた。


特等席に座っていたのは、露骨に怒りを浮かべる王太子、カシリア殿下。


悲しみを隠せない父上とエリナ。


そして、憐れむような眼差しで私を見る継母。


みんな……エリナ……どうして……。


私は、あなたを殺そうとしたのよ……!?


――ああ、そういうことか。


ようやく、思い出した。


善良で可憐な公爵令嬢。


容姿端麗な王太子。


彼らこそが、このラブコメの主役なのだ。


ならば、引き立て役である悪役の私は、ここで退場というわけか。


私は衛兵に押されながら、無様にこの舞台から降ろされた。


今日は、いい日だ。


これから王子は、運命の姫と幸せに暮らしていくのだろう。


そして重罪を犯した罪人も、やがて罰を受ける。


いい結末だった。


きっと。


めでたし、めでたし。


【作者から、ひとつだけお願いです】


少しでも、

「何かが残った」

「続きを見てみたい」

と思っていただけましたら、


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ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

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