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6話 弓矢の練習

 翌日宿屋の部屋で起きて朝食を済ませると防具屋に向かった。

 革の鎧の修理は終わっていた。

 傷や綻びが綺麗に修理された革の鎧は、使い込まれて風格が増したように感じる。

 店内で着替えて、着心地を確認して調整をすると満足して修理代を支払った。

 防具屋を出ると早速町の外に出てモンスターと戦って新しい武器防具の性能を確認した。

 

 鉄の剣の性能は頑丈さと切れ味が増した。

 これならすぐに刃毀れすることも折れることもないだろう。

 剣に対して刃毀れや折れる心配をしないで、思いっきり振り回してモンスターを一刀両断することに不安はなかった。


 合わせて弓矢の実践練習もした。

 群れで襲って来たモンスターは数が減ると、逃げて行く者もいる。

 そういったモンスター相手に弓矢を引いて射かける。

 失敗することが多かったが、何回か熟すうちに弓矢も当たるようになっていた。

 

 レベルも8になり、この周辺のモンスターに負けることはないだろう。

 消費した装備代を取り戻すためにも、我武者羅にモンスターを倒して行った。




 昼頃になると昼食を兼ねた休憩を取った。

 昨日買ってきたパンと干し肉を取り出して食べようとしたが、食べにくい。

 パンは固くてチマチマと千切ってしか食べれない。

 干し肉は固すぎて歯で食いちぎれず、ナイフで切って口に含んだがしょっぱくていつまでも口に含んでも柔らかくならない。

 歯で噛みしめても、口が疲れるばかりだった。

 干し肉は食べられた物じゃないと食べるのは諦めて、パンをぼそぼそと食べるだけで終わった。

 この食事は失敗だ。


 お腹を空かせながら、夕暮れまでモンスターを倒し続けてレベル9に上がると町に帰った。

 宿屋でいつものように安い食事を頼む。

 変わり映えしないパンと水とスープだったが、暖かいスープにパンを浸しながら食べれるのは有難い事だなと改めて感じた。

 



 翌日ギルドに行って素材を換金して、道具屋に行って消耗品を買った。

 道具屋を見て回ると、鍋50Gやフライパン70Gも置いてあったが買うか迷う。

 そこらの武器防具と変わらない値段なのだ。

 しかし昨日のような食事は流石に食べたくない。

 料理をしようかどうか、悩みどころだった。

 料理道具を揃えるための金額に悩み、店の片隅に釣り竿を見つけてこれを買ってしまった。

 釣り竿20Gという安さに誘われ、干し肉より釣った魚の方が美味しいのではないかと思ったのだ。


 町の外に出ると、今日は草原方面ではなく川に向かった。

 川は広く穏やかに流れている。

 手ごろな岩を見つけて場所を確保すると、近くの岩をひっくり返してミミズを見つけて餌にすると釣りを始めた。

 釣りをしたことがなかったので、のんびりと待ちながら一匹でも釣れればいいと考えていたが、思いの外すぐに魚が釣れた。

 小さいけど、食べれないほどではない。

 その後も次々と魚が釣れたが、時々攻撃を仕掛けてくる魚もいた。

 そういう魚は剣で切ると、5Gと魚の切り身となった。




 魚を釣り続けると釣れる魚も段々と大きくなって最後には白い鯉のような魚が釣れたが、襲いかかられた。

 白い鯉は鱗をキラキラと輝かせながら、口から水を吐き出して攻撃してきた。

 私は釣り竿を手放して転がって水を避けると、剣を引き抜いて白い鯉に攻撃する。

 剣を白い鯉の胴体に切りつけたが、鱗によって防がれた。

 ガリガリと数枚の白い鱗を剥がしただけで、攻撃は効いていない。

 そのまま白い鯉は川の中に落ちて消えてしまった。


 釣り竿も手放した時に川に落として無くなっていた。

 白い鯉も見事に逃げてしまった。

 残ったのは数枚の白い鱗だけだった。


〈のぼり鯉の鱗〉

 人への好感度UP

 

 ……うへぇ、また要らない物を拾ってしまった。

 取り敢えず持っておくが、別に必要のない物だ。

 売るとしてもお金に換算出来る物なのか怪しかった。




 昼頃になると焚火を作って魚を枝に挿すと焼いてみた。

 枝木は森に居た時に大量に拾っている。

 火は始まりの街で火打石を買っていた。


 魚に塩を振って焼いてみた。

 火加減が分からずに焦がし気味に焼けてから食べてみたが、まあまあ食べれる味だった。

 焼いたおかげで所々焦げてはいたが、魚の身がほくほくと柔らかくて食べやすかった。

 味は塩のおかげで味を誤魔化して食べやすかったけど、泥の味? 臭味を感じたから魚自体の味はあまり美味しくなさそうだ。

 ちゃんとした処理をすればもっと美味しいのかもしれないが、私は知らない。

 だから総合的にまあまあ食べれる味だった。

 昨日の干し肉に比べれば、だいぶ評価はいい。


 お腹を満たした後は、モンスター退治に精を出した。

 弓矢の扱いにも慣れ始めて逃げるモンスターへの留めを刺す用だけでなく、モンスターが私を感知する前の不意打ちとして遠距離から攻撃を仕掛けられるようになった。

 

 夕暮れになって町に戻るとギルドで素材と換金して、宿屋に戻って食事をするとすぐに寝た。




 翌日朝食を食べて道具屋に行くと、落としてしまった釣り竿の替わりを探したが他に釣り竿は売っていなかった。

 魚のストックはあるが、暇つぶしにも釣りはいい時間だった。

 もっと釣りをしたかったが、残念である。


 もう少し店を見て回ろうかモンスターを狩りに行こうか迷っていると、冒険者に声を掛けられた。


「おーい、あんたプレイヤーだろう? 一人で行動しているようだが俺たちと一緒にパーティーを組んで行動しないか?」


 声を掛けてきたのはプレイヤーと思われる3人組の男性だった。

 鉄の鎧や革の鎧を着て、剣や斧を持っている普通の冒険者のようだ。


 今までプレイヤーに声を掛けられたことがなかったから驚いた。

 しかも顔を隠している人物に態々声を掛けて仲間に誘うだろうか?


「どうして私を誘ったんですか?」

「あ――、何でかねぇ? 俺にも分からないけどこの町で一人で行動しているようだったし、妙に気になってな。このまま一人で行動しようとしても限界がくるだろう? それなら俺たちと一緒にどうかなって誘ったんだ」

「今の所一人で行動しても支障はないですから、行ける所まで一人で行ってみようと思っています。

 どうしても一人でモンスターを倒せなくなったらまた考えようと思ってますので、まだパーティーに入る気はないですね」

「そうか……、それならプレイヤー同士で情報の交換がてら一緒に食事でもしないか? 今まで一人で行動していたなら知らない事も多いと思うぞ」

「いえ、もう次の町に行こうと出発の準備をしていたので、もうこの町から出て行かないといけません」

「そうか残念だな。また会う機会があったら今度こそ食事をしよう」


 そう言って男性3人組は離れて行った。

 

 急に次の町に行く予定が立ってしまったが、嘘から出た真にしてしまおう。

 さっさと次の町に行くことにした。


 食料は昨日釣りあげた魚があるしポーション類を道具屋で買うとさっさと町を出て行った。

 


 町で目立つような行動をしたつもりはない。

 顔を隠しているのは不審だが、注目されるほどではないと思っていた。

 あの男性3人組は少なくとも、数日は私の事を観察してたような話しぶりだった。

 そして今日急に話しかけてきて誘って来たのは、昨日入手したアイテムのせいだと考えた。


 私は町を出ると川へ向かい、のぼり鯉の鱗をすぐさま川に捨てると次の町へ向かって歩き始めた。


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