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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
1章グフィーラ王国・古都

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61食目、女神シロに供物を捧げる

 二人の食事が終わった後ジブリールは席を立つと帰ると告げ颯爽と去って行った。ジブリールは働くよりも食うだけの方が良いみたいだ。

俺はレイラとドロシーに獅子之助を紹介し後は任せカズトはシロ様のご所望通りにマシュマロと饅頭をご用意し念話にてシロ様に伝える。


『シロ様シロ様、大変お待たせ致しました。ご所望された品をご用意出来ました』


 ・転移される事を了承されますか?

 Yes/No


 とウィンドウ画面が出現した。

 カズトはYesと押すと一瞬で周囲の景色がガラリと変わり、白くほぼ何もない辺鄙な場所なのは前と変わらない。唯一あるのがぽつんと丸いテーブルと椅子が二脚のみだ。

 カズトは前と同じく椅子に座った途端、目の前に誰も居なかったはずなのだが、いつの間にか絶世の美少女が座っていた。紛れもなく〝シロ〟である。


「シロ様、急に現れないでください。心臓に悪いです」


 勇者のスキル【絶対感知】を用いても分からなかった。


『妾を待たせるのが悪いのです。さぁ〝マシュマロ〟と〝饅頭〟を出しなさい』


 女神だから偉そうなのは当たり前だけど、何か上から目線がムカついてしょうがない。


『聞こえてますよ。下民は下民らしく神にしたがえば良いのです』


「心をいちいち読まないでください。もう来ませんよ」


 カズトが来ない=二度と甘味を含め地球の食べ物が食べられない事を意味する。

 何故かと言うと、シロは世界のルールで下界に下りれない事と何故かカズトの固有スキル【異世界通販ショッピング】が使えない。だから、カズトがいないと地球の食べ物が食べれなくなる。


『ぶぅぶぅ、妾だってそなたのスキルが使えれば、わざわざ呼ばなくても良いのです』


「ほぉ~、そんな事言って良いのか?俺は別にここへ来なくても良いんだが………」


『そ、それはダメだぁぁぁぁ。ごめんなさい、それだけは許してください』


 シロが瞳にいっぱい涙を貯めて土下座をしてくる。そして、俺の袖を掴み懇願してくる。

 まさかここまで効果絶大とは思わなかった。

 シロは女神のため、何も食べなくても生きて行けるが、人間を含む種族の供物がなけりゃ力か徐々に失われていく。つまり、信仰心が大事らしい。

 人間を含む種族一人一人の信仰心は微々たるものだが、それがチリも積もれば山となる如く集まれば、巨大な力となる。だが、最近は信仰が減ってるようで、数千年で完璧に女神の力を失くなる計算だとシロ自身が自称してる。

 何ともまぁ気が長い時間だ。女神だとそう感じないかもしれないが、人間だと必ず死んでる以前に何十代かの世代交代してる時間だ。


「そんなに長い時間なら俺は必要ないんじゃないか?」


 俺がシロに疑問をぶつけると、首をブンブンと振る。


『そなたの供物は何十人………何百人程の信仰心と匹敵するのです。お願いします、どうかどうか………たまにで良いのですから来て頂けませんか』


 ウルウルと潤んだ瞳でこちらを見詰めてくる。カズトは昔からこういう表情に弱い。よって、困ってる人を見ると助けてしまう傾向が強い。


「わ、分かったから袖を離せ。それで、これが今回の供物だ」


 カズトはアイテムボックスからテーブルに〝マシュマロ〟と〝饅頭〟を出した。

 どちらも、シロが大好物の内の二つだ。というか、シロ曰く地球の甘味が第一位で後は適当に好きという事らしい。


『ひゃほう、これよこれを待ってたのよ。は~む、モグモグ………う~ん、うーーーーまーーーいーーー』


 好物を目にするないなや一瞬で全ての〝マシュマロ〟と〝饅頭〟が皿から消え失せシロの両手に収まっている。それに加え、カズトが退く程口調が変わり無我夢中で食べてる。


『モグモグ………うっ………ゲホゲホ、の、喉に………つま………つまった』


「しょうがないな。ほれ、お茶だ。これで流しこめ」


 まったく女神のクセに手間のかかる事だ。これだからダ女神は………これが本当に創造神なのか疑いたくなる。だが、勇者であるカズトでも勝てない相手なのは確かで、実力は認めるしかない。


『ゴクゴク、ぷはぁ~………た、助かったぁぁぁ』


「急いで食べるなよ。誰も取りゃしないから」


 お茶で喉の詰まりを除去すると、また食べ始める。無邪気に食べるシロを見てると、何処にでもいる子供にしか思えずカズトの頬が自然に緩んだ。

 最初は何とも思わなかったが、他人が食べてる姿を見てると自分も食べたくなる如く、シロが食べてる姿を見てたら俺も何か食べたくなってきた。

 それで俺が取り出したのは某お菓子メーカーが発売してる〝チョコチップクッキー〟だ。アイテムボックスから箱ごと取り出しモグモグと食べ始める。


『そなた美味しそうなのを食べておるな。妾にもそれをよこせ』


 シロの皿の上には、もう何も乗っておらず全部食べきったようだ。カズトだったら必ずと言って良い、胸焼け起こす程の量をたった一人で。まぁ相手は女神ていうかダ女神だ。驚きはしないが………流石に早過ぎだろ!

 どんだけ大食いというかこの場合は早食いか?基準は分からないが、それはさておきあんなに大量にあった〝マシュマロ〟と〝饅頭〟を平らげ、その上で〝チョコチップクッキー〟まで手を伸ばすなんて食い過ぎではないか?

 と思いながらも全部シロにあげるカズトであった。

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