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SS4-12、赤薔薇隊隊長~婚約報告兼説得するまでの軌跡~決闘決着、そしてその後

 チャプン

 カズトとの決闘が終わり、ライラは今現在レストラン〝カズト〟自慢の温泉に浸かってる。決闘の結果は、自分の負けだ。

 悔しいが、あの実力ならお姉様とも釣り合うだろう。本音では納得したくないが、これでも私は騎士の端くれだ。決闘の敗者は潔く去るのみだと心得ている。

 だけど、カズトが敗者の自分に対し『今日は泊まってて下さい。ご馳走もご用意致しますので』と敵に情けを掛けたのか、それとも……………敵に塩を送ったのか。

 最初は断ろうとしたが、部下達が大層喜んでおり、我が敬愛するお姉様までもが部下と一緒に喜び……………そして、カズト(ライバル)の元へ駆け付けては、ケガの心配をしつつも抱き付いている。

 お姉様からも勧められ、今に至る。温泉というよりは、お風呂に入ったのは何時振りだろうか?風呂という施設は、常識的に金に余裕のある貴族か王族しか入れない贅沢品だ。

 王族付きの騎士隊の一つである赤薔薇隊の隊員でさえ、中々入れない。普段は濡らしたタオルで体を拭くか、水の畔があれば水浴びをする程度だ。


「温泉の湯加減どうですか?ライラ隊長」

「姫様!隊長は、まだ恥ずかしい」


 レイラがタオル一枚というあられの無い姿で入って来た。その姿は、例えるなら……………そう神が遣えた天使のようなお姿だ。


「姫様が、どうして……………」

「お客様の様子を伺うのも、従業員の仕事の一つなのですよ。それに、たまにはライラ隊長と一緒に温泉へ浸かりたかったのが本音です」


 チャプンと馴れた手つきで温泉に浸かるレイラ。お湯に馴れてないと、ビクッと身体が驚くものだが、レイラは元王族であり、お風呂は馴れ親しんでる。

 温泉に浸かるレイラは、ライラから見ると浸かる前が天使だったが………………今現在、温泉に浸かってるレイラは女神へとランクアップしたかのようにライラの瞳に輝いて映っている。

 カズトの決闘終了からライラの心の中に、ポカンと穴が空いたかのように内心不安定な状態で、ユニ以外の誰かを求めてるのか?今、目の前に温泉へ浸かってるレイラが愛しく思えてしまう。


「ひ、姫様。姫様は、勇者カズト様の何処が好きですか?」


 一緒に温泉に浸かってるレイラに対してドキドキと胸の高まりを感じつつも、自分を負かしたカズトも気になって………………頭から離れなくてしょうがない。

 ユニに対して感じていた気持ちと違うと自覚してる中で、この気持ちが何であるか分からず動揺を隠せないでいる。そのせいで、ついレイラにカズトの事を聞いてしまう。


「そうですね。カズトは、自分よりも私達を気に掛ける程優しくて、料理をしてると凛々しくて、闘ってるところなんか格好良くて、頼み事はけして断らない程にお人好しで、私達を均等に愛してくれて━━━━」

「もう良いです。ご馳走さま」


 これ以上、惚気話を聞いていると、こっちまで赤くなってのぼせそうになる。もうそろそろ上がろうと立ち上がると………………


「あっ、そうそう忘れてました。当店のサービスとして、宿泊してるお客様限定で、お風呂上がりにマッサージを行っております」


 食堂の客が退けた時間帯のみのサービスとなっている。マッサージが出来る従業員がレイラとドロシーしかいないためである。

 カズトがレイラとドロシーにマッサージをご教授したため、カズトも出来るが相手が女性客が多いため、普段は敢えて辞退している。ただし、根強いご希望のあれば、その限りでない。

 そのカズトも実の姉にマッサージの技術をプロ並みになるまで叩き込まれた。


「そ、それじゃぁ、お願いしようかしら」


 元王女に女中がやるような仕事をさせる事に抵抗はあるが、マッサージという響きに同じ女として抗えなかった。

 マッサージ室は、脱衣場からも行ける造りとなっており、普通なら水着か専用の着衣を身に付けてやる。

 だけども、お互い同性であるため脱衣場から、そのままの姿でマッサージ室へとやってきた。

 マッサージ室の内装は様々な見たことのない観葉植物で飾り付けされており、南国気分が味わえる。この世界にも南国があればの話だが。


「そこにうつ伏せになってちょうだい」


 真っ白で人一人余裕で寝転がれる施術台に、レイラに言われるままうつ伏せに寝転んだ。

 見た目に反して柔らかく、体重に比例して所々下に沈む。ベッドと言われても信じられる位に気持ち良い。


「さぁ、始めます。最初はくすぐったいかもしれませんが、我慢してください」


 腰の辺りにタオルでも掛けられたのか、布ぽい感触が伝わる。その直後に肩甲骨近辺に、ヒンヤリと冷たい感触が来ると「ひゃぁっ!」と、つい声が出てしまう。

 レイラの両手には、体内の老廃物を排出すると云われるオイルが、たっぷりと塗られており、これを余計なお肉を落とすよう揉んでいく。

 背中→ふくらはぎ→お腹→太腿→二の腕の順にやっていく訳で終わった頃には、別人と間違ってしまう程にツルピカで一回り余計なお肉が取れている。

 マッサージ終了間際のライラを見たユニとカズトは、一瞬誰だか解らなかったそうだ。これを見て大爆笑した部下数人は、ライラ直々の地獄の特訓という罰が待っていた。




これにてSS4赤薔薇隊隊長~婚約報告兼説得するまでの軌跡~は一旦終了とし、本編と今執筆中のSS6赤薔薇新隊長ライラに引き継がれます。

なので、この後の話もお楽しみに。

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