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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
1章グフィーラ王国・古都

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SS4-6、赤薔薇隊隊長~婚約報告兼説得するまでの軌跡~副隊長が酔い潰れる

「いえいえ、これは私が好きでやってる事なので大丈夫ですよ。それに……………あんまりカズトの悪く言わないでくださるかしら。ニコニコ」

「そうだぞ、私もここで働く事になるんだからな。カズトの事を悪く言うヤツは許さないからな。ニコニコ」


 レイラとユニはニコニコと笑顔なんだが、ライラだけは何故か寒気を感じる。これ以上カズトの悪態━━━━いや、悪口を言うのは命に関わると本能的に察した。

 よって、この悪態を突くという作戦は……………ほんの数秒で瓦解したのであった。


「さぁ、生も届いた事だし食べようじゃないか」


 ユニからは、もう寒気を感じる事はなくライラは大人しく目の前に積まれた唐揚げを食べてみた。

 ライラは初めて食べる唐揚げに驚愕を覚えた。名前から察するに鶏肉を使ってると推測したが、それは間違いだと思い至った。鶏肉がこんなに美味しい訳がない。鶏肉がこんなにジューシーで肉汁が出る訳ない。

 ここの店━━━━否、勇者カズト様はウソを付いてると疑念を向ける。早速、陥れる材料が手に入ったと内心思ったが、それも瓦解する事になる。


「お姉様、これは確かに美味ですけど……………鶏肉ではありませんよね?」

「鶏肉よ。カズトが作ってるところ見た事あるもの。カズト曰く若い鶏を使うと良いらしいわ」


 そんな事一度も聞いた事はないが、この旨さは本物だ。証拠が目の前にある以上信じる他ない。

 頭では食べたくないのに体が勝手に唐揚げへ手を伸ばし口の中へ放り込む。口に入れた瞬間、ジュワーと肉汁が体内を駆け巡り、この美味しさに抗えない。

 そして、極めつけは姫様が配膳した黄金色に輝く飲み物だ。王都や古都に出回るエールに似てるがグラスが冷えており、泡の立ち方も段違いだ。

 ライラ以外は何の躊躇いもなく、グイグイと飲みユニに到っては数秒の内に空にした。ライラは勇気を持ち黄金色に輝く未知の飲み物をグイっと一口飲んだ。

 その瞬間、この世とは思えない程の美味しさにジョッキを傾ける手が更にジョッキを傾け、気づいた時にはジョッキの中身は空となっていた。


「ライラも良い飲みっぷりだな。追加を頼むか」

「はい、お姉様。普段、酒は飲まないのですけど……………冷えていて何より美味し過ぎます」


 この美味しさを表現する言葉をライラは持ちいていない。エールは生緩くて不味い代物で嫌いであったが、この…………〝生ビール〟でしたか?これは美味し過ぎます。

 何杯でも行けそうな気が致します。だけど、飲み過ぎには注意。何杯でもいけると思う人に限って酔っ払った時の対応が大変だ。しかも初めて酔っ払っう人は何を仕出かすか解らず逆に怖い。


(ヒソヒソ……………ライラ隊長、あんなに飲んで大丈夫か?)

(ヒソヒソ……………酔っ払ったところなんか見た事ないっすけど?)

(ヒソヒソ……………ライラ隊長はエールが嫌いだから、普段はミルクを飲んでるらしい)

(ヒソヒソ……………それ初めて知りました)

(ヒソヒソ……………まぁ、そうだろうな。一部の人しか知らない噂だ。ライラ隊長の酔うところ見たい気もするが、見たくない気もする)

((((コクコク))))


 ライラ隊長は酔うとどうなるのか?部下五人は予想をするが思い浮かべる事が出来ない。笑い上戸や泣き上戸なら普段のライラからは想像出来ない姿だけに見てみたい気もしなくもないが、怒り上戸だけは見たくない。

 恐らく怒り上戸が出た時には店が半壊か全壊か……………最低でもテーブルの一部が壊される位だと予想出来てしまう。

 だから本当ならライラが酒を飲む事を止めたい五人だけども、ライラに酒を次々と勧めてるのが元隊長のユニだから益々手に負えない。


「ほらほらどんどん呑め呑め」

「ぷはぁ…………お姉様の【生】美味しいです」


 生という部分を強調してライラは言う。卑猥な意味でないが卑猥に聞こえてしまう。これを聞いていた周囲の男性客は何故かモジモジとテーブルの下で両手を擦り会わせてる。


「ぷはぁ……………あれぇ、おかひいぃれすね。お姉しゃまがにゃんにんにも見れまふ。ほれでお姉しゃま」

「大好物か?ライラ」


 相当酔いが回って来たらしく、体がフラフラ状態のライラ。今にも眠ってしまいそうな様子を見るや部下五人は心底ホットしている。怒り上戸が出た時には止める術がないからだ。


「大好物れ…………バタン…………グースピィ」


 ライラはとうとう意識が手放したようで、テーブルに顔面からダイブすると寝息を立てながらそのまま寝てしまった。


「おい、ライラ…………熟睡してるな。おーい誰か来てくれ」

「はーい、お待たせ致しました」


 ずいぶんと可愛い犬耳の女の子が出て来た。部下五人は直ぐに抱き締めたい衝動に駆られるが、ここにいる限り何時でも会えるだろうと堪えた。


「ほぉ、ずいぶんと可愛い子を雇ったんだな」

「そんな!僕を可愛いなんて…………レイラお姉ちゃんやドロシーお姉ちゃんの方が美人ですぅ。これが宿客名簿となりますので、お名前を」


 ルーシーは名簿に赤薔薇隊全員の名前を書き記し、ライラを背負うユニを部屋に案内したのであった。




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