SS4-3、赤薔薇隊隊長~婚約報告兼説得するまでの軌跡~部下五人も着いて行く
あっという間に三日が経ってしまった。あの後もどうにか説得を心得ようともライラは聞く耳を持たず、何か理由を付けてはぐらかす一方だった。
今にでもカズトに連絡取れれば良いのだが、遠距離連絡の魔道具は希少の上高価でギルドか一部の貴族しか所持してない。もし出回り買おうにも貴族優先であり、常に予約されてる状況で手に入らない。
「お姉様ぁぁぁぁぁ」
「ライラ!」
ライラがユニにブンブンと腕を振りながら走って来る。ライラとしては珍しく突進しないで、ユニの目の前で急ブレーキを掛けた。
遠目で解らなかったが、今のライラは普段のビキニアーマーでなく清楚な女の子らしく白いワンピースを着用してる。
「ど、どうですか?お姉様、似合ってるでしょうか?」
ユニに全体を見せる……………いや、ユニを魅せる様にクルンと一回転した。回転した際にフワっと裾が風により舞い上がったが下着が見えそうで見えないギリギリをライラは狙った。
ライラがやってみせた仕草は男なら目が釘抜けしちゃうであろう。完璧に下着を見せるよりは、妄想を膨らませた方が良いと準備期間中に称号:恋の伝道師を持つ者とライラは接触し、そう教わった。
「ライラ、似合うと思うぞ。普段とは違い、新鮮で良いな」
「それは普段の私が粗暴でガサツで女ぽくないって事でしょうか?」
「そこまで言っていないでないか。それよりも、私の方はどうだろうか?変でないか?」
「お姉様は何を着ても似合ってます」
聞いた相手を間違えたようだ。ライラはユニを神の如く崇拝しまくってる。ユニに対してマイナスな事を言うはずがない。
「それにしても変わった服装ですね?見た事のない生地ですし、何処で買ったのですか?」
「これはカズト殿からのプレゼントだ。カズト殿の世界での女性は、こういうものを着るらしい」
「勇者カズト様からのプレゼント!」
見た事のない生地ですが、誰から見ても上等な素材を使用されてるのは明白。一体こんな素材を手に入れたのか気になるところ。ライラは密かに頷き決意する。勇者カズト様がどうやって手に入れたのか捜査するのだ。
今回、ライラがユニに着いていく目的。
一つ目、勇者カズト様がお姉様に相応しいか決闘で判断する。これが一番の最優先事項。
二つ目、王都まで届いてるレストラン〝カズト〟の料理の噂を確認する事。王都に届いてる噂では、どの料理も美味であそこで食べれば一種のステータスとなるという話だ。
三つ目、お姉様が着用してる服の秘密を探る事。話に依れば、レストラン〝カズト〟は宿泊も出来るという。時間が掛かりそうな場合は泊まり込みでの調査を辞さない。
以上がお姉様とレストラン〝カズト〟に着いて行く目的の全てとなる。
「ライラ、私を呼びに来たのではないか?」
「あっ!そうでした。馬車のご用意が出来ましたので、お呼びに来ました。何時でも出発出来る状態です」
ライラの後ろを着いて行くと、そこには馬車が二台ある。私とライラの二人なら一台で済むはずだ。
馬車の影から見覚えのある者達が飛び出して来た。同じ赤薔薇隊の隊員五名が現れた。何故ここにいるとユニは疑問に思う。
「おい、お前達何故ここにいるんだ?」
「私達も着いて行くからです」
「ライラ副隊長と勇者様の決闘を見守るためです」
「美味しいご飯を食べたいからです」
「あそこにまた泊まってみたいからです」
「ユニ隊長と勇者様のイチャイチャする光景を見たいからです」
気のせいかもしれないが、一つだけ変な理由が含まれていたような気がした。カズト殿とは、イチャイチャはしたいと思うが……………しかし、みんなの目の前では恥ずかしくて出来ん。やっぱり二人きりの時にでも…………いやいや、しかし━━━と、ユニの内心で色々な問答が繰り広げられていた。
部下達五人も普段のビキニアーマーではなく、女の子らしい私服を着用していた。五人とも馬子にも衣装というべきか、とても似合っており、道端を歩いていれば男達が振り返ること必須だろう。
多分、知り合いと会っても一瞬誰か解らないはずだ。むしろ同性でも見惚れてしまう程にここにいる全員が美少女と言って過言ではない。
「お前達、城は良いのか?確か警備の仕事とかあっただろ?」
「勇者様印の甘味を鱈腹買って来るという事で」
「勇者様印のお酒を鱈腹買って来るという事で」
「勇者様印の食器を鱈腹買って来るという事で」
「勇者様印の石鹸を鱈腹買って来るという事で」
「陛下から許可をお取りした次第です」
王よ、それで良いのか!
確かにレストラン〝カズト〟にある様々な品物は城や王都よりも数倍良質の物が多く手に入れたい気持ちは分かるが、トップに立つ者がそれで良いのかと、ため息を吐くユニであった。




