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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
1章グフィーラ王国・古都

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48食目、姉と妹の再会

「あなたリリーシアちゃんと言ったかしら」


 あっ、そういえばリリーシアの事忘れてた!裁判の事よりもこっちの方が大事な事だったんじゃないかな。俺的には雇っても良いと思うのだけれど………。


「そうじゃ。妾は━━━」


「えっ!あなたリリーシアなの!リリーシア僕だよ、ルーシーだよ」


 急にルーシーが叫びリリーシアに詰め寄る。知り合いのようだが、この世界の常識として普通は魔族の知り合いはいないはずだ。それだけで、国家反逆罪になりかねない。

 ただし、例外が一つだけある。


「ルーシー、リリーシアと知り合いなのか?」


「知り合いというよりも、リリーシアは僕の妹だよ」


「「「えぇぇぇぇぇ?!」」」


 驚くのは当たり前だ。ルーシーは犬族コボルトでリリーシアは魔族なのだから。ハーフならともかく、犬族コボルトなら犬族コボルトしか産まれないし魔族なら魔族しか産まれないはずだ。


「妾がそなたの妹じゃとそんなバカな………ちょっと待て!そなた名をルーシーと言ったかや」


「うん、僕ルーシーだよ」


「ルーシールーシー………ブツブツ」


 リリーシアは頭を押さえながら、ブツブツと独り言を呟いている。本当にリリーシアがルーシーの妹なら感動の再会になるとレイラとドロシーはうっすら涙目になりつつある。

 だが、問題は種族の相違とリリーシアの方が明らかに年上って感じがする。雰囲気とかじゃなく見た目━━━背や体型が明らかにリリーシアの方が成長してる風に見える。


「そなたルーシーなのかや!いや、ルーシーお姉ちゃん………ですか?」


 急にしおらしくなるリリーシアがルーシーに抱き着き、こちらに泣いてるところを見せまいとルーシーの胸元で泣いている。

 感動の再会というよりは貰い泣きでレイラとドロシーがマジ泣きしてる。ミミは何故か背中を向けてはいるが、僅かに震えてる事からミミも泣いてると推測出来る。

 俺も貰い泣きしたところで本題へと移る。


「ところで、リリーシアは角を隠してはいるが魔族だ。そして、ルーシーは犬族コボルトだ。姉妹なんてあり得ない。これはどう説明する?」


「………ミミに心当たりがある」


 おぉ!魔法の大先生が手を挙げた。この中で一番頭が廻るのはミミだ。本来なら種族内で秘匿してる固有魔法やスキルも知ってるくらいだ。


「………魔族には【魔族化】という固有魔法があるのです。この【魔族化】は他の生物を魔族に作り変えるという神に近し事が出来る」


 それじゃぁ、リリーシアは犬族コボルトから魔王の手によって魔族に変えられたというのか!何たる悲劇なんだろう。


「ただし、生涯一度や二度しか使えないはずです。複雑な魔方陣や薬の調合に大量の魔力が必要のはずです。魔王なら複数回使用出来ても不思議ではないです」


 あそこで魔王を殺して正解だったか。これでリリーシアのような犠牲者が増えなくて済む。でも、一般の魔族でも【魔族化】は使えるらしいが魔王よりは頻繁に犠牲者はかなり減るだろう。

 リリーシアとルーシーもその犠牲者だが幸運だ。普段なら100%の確率で生き別れてもおかしくなかった。だが、勇者カズトと出会いこうしてお互い再会出来たのだから。


「ミミ、リリーシアを元に戻せないか?」


「………無理。カズト風に言うと遺伝子レベルで改造されてるから不可能」


 遺伝子レベルか。ミミなら可能かもしれないと思ったがダメだったか。ミミでダメなら俺はなおさらダメだな。

 地球での知識を用いても遺伝子となると話は別だ。それはもう、神や悪魔の所業である。それも成長した生物の遺伝子を作り変えるなんて出来やしない。


「カズト様、どうか私をここで働かせて貰えませんでしょうか?姉と共に頑張りますので、どうかご慈悲を」


 どうするか考えてる最中、リリーシアがザ・土下座でお願いする。カズトが考えてる中では、一番ベストだ。リリーシアを雇いルーシーと共にレストラン"カズト"で働かせる。

 ただし、リリーシアを魔族だとバレると周囲に混乱を及ぼす恐れがある。


「僕からもお願いします。もう、妹と離ればなれは嫌だよ」


「安心して、元々働かせるつもりだったから」


 カズトが了承すると、パァーと二人の表情が不安から笑顔にシフトチェンジした。その後、抱き合い泣いた。喜怒哀楽が激しく見ていて飽きない。


「さてと、リリーシアの世話役としてドロシーやってみるか?」


「はい!おまかせください。リリーシアちゃん、よろしくお願いしますわね」


「リリーとお呼び下さい。ドロシーお姉さま」


「か、可愛いぃぃぃぃ」


 ガシッとあまりの可愛いさにドロシーはリリーシアに抱き着いた。一方のリリーシアは一見苦しそうだが嬉しそうである。


「部屋の方はルーシーと相部屋が良いかな?せっかくの姉妹だからね」


「「はい、ありがとうございます」」


 後でベッドは運ぶとして、他には下着とかはレイラかドロシーにお金渡して買いに行かせるか。

 それに最も大事な事がある。それは………リリーシア専用のチャイナドレスを作成━━━いや、着用させる事だ。


「レイラ、後でリリーシアにチャイナドレスを用意するように。確かあの部屋にピッタリと合うサイズがあったはずだ。これがリリーシアのサイズだ」


 カズトは一枚の紙をレイラに渡した。そこには秘匿事項と書いてある。この紙は特殊な紙で、この紙と波長の合う魔力を流さないと中身が見れない。機密を用いる時に使われる一種の魔道具だ。


「了解であります。ほぉ、隊長はさすがでありますな」


「それは後で良いからな。まずは開店準備だ。ドロシーはお金渡すからリリーシアに必要な物を揃えてくれ」


「了解よ。リリーちゃん行きましょうか」


「はい、ドロシーお姉さま♪」


 こうして今日も慌ただしい一日が始まるのである。


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