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260食目、距離を断ち切る

「さぁワタクシから断ち切ったものを戻して貰おうか」

『その内に戻るから安心しろ。お前は、剣で木を切ったら戻せるのか?無理だろ?それと同じだ』

「ぐっ」


 スサノオに正論を言われ、口をパクパクと何も言えず、まるで水の中で呼吸を求めてる魚のようだ。


『それと昔から何度も口を酸っぱく言ったはずだのぉ。油断大敵だと』


 いつの間にか、スサノオの隣に居たはずのカズトがいなくなっていた。《世界ザ・ワールド》が見逃すがはずがない。

 文字通りに世界を統べる能力を持つ《世界ザ・ワールド》の探知を掻い潜るなんて芸当を普通の人間が出来ようがない。


 そう、普通の人間ならば。


「ドンを返して貰うよ」


 声を掛けられて初めて背後に回られた事に気づいた。蹴りを入れられた時もまるで最初からそこに居たように気付かなかった。


 バキバキ


 振り向いたのと同時にカズトは、《世界ザ・ワールド》の頬をゼロ距離から思いっきし殴った。【風龍王の加護】でパワーアップしてる風属性が加わってる拳の一撃は、まるで台風の如く威力を放つ。


「今度は手応えあり」

「ゲホッ…………どういう事?あの距離を一瞬で」

「俺とお前の距離を『断ち切った』」

「断ち切った?」

「そう断ち切った」


【風龍王の加護】にて距離を断ち切り実質ゼロにした。物質だけではなく、例外はあるが様々なことわりを断ち切る事が出来る。

 その1つに距離がある。距離を断ち切れば、その距離はゼロとなってしまう。転移と似ているが速度が、まるで違う。

 転移は、今いる場所と転移先を点と点で結び魔力の道を形成するようなイメージ。意外と複雑で、失敗すれば壁の中に埋まったりと事故が起き最悪死亡してしまう。

 それと違い、カズトのやってる事はタダ切ってるだけ。技術面でも集中力・制御面どれもとってもコスパが良く速い。


「そんなカップラーメン作るみたいに言わないで!転移がタダの属性に負けたみたいで何かショックだから」


 何気にメンタル弱い?それよりも思いっきり殴ったのに何も無かったようにまた無傷だ。


「というか何でカップ麺を知ってる?」


 異世界アグド出身なら知らないはずだ。昔の勇者が伝えた事を考えられるが、カズトが今まで聞いた事がないので、それはない。


「えっ?そこが気になっちゃった感じ?それもそうか。勇者は誰もが地球出身。そりゃぁ気になるか。教えてあげても良い。だけど、条件がある」

「ここから逃がせってか?」

「そう。その通り」


 何が何でも武力で解決しようとするのは3流、時には情報も武器になる事を知っていて2流、そのどちらも使い分けが出来て1流な冒険者ハンターや本当の強者だ。

 だが、時には力任せでどちらも解決出来ちゃうのが勇者と呼ばれる者達でもある。


「ふん。まぁ地球に未練がないと言えばウソになるけど、その情報に価値なんてない」

「なにっ!地球へ帰りたくないのか?」

「後で自分の力で行くから良いさ。それに何でお前がカップ麺を知ってるのかも想像出来るし」

 

 他の世界持ちの世界に干渉出来るなら、地球にも行き来を出来るのでは?と、カズトは考えている。色々無自覚にもヒント出し過ぎなんだよ。


「《世界ザ・ワールド》と言うくらいだ。まだあるんだろ?まだ出してない能力が…………全力で殺らないと殺すよ」

「ぐっ」


 カズトの殺意じみた瞳に見詰められ、一瞬怯む《世界ザ・ワールド》。転移を使おうとするが、上手く発動出来ない。


「くそっくそっ!何で出来ない」

「あぁ全部は無理でもいくつかは断ち切って置いたよ」

「なにっ!」


 発動する前の転移の魔力の道を既に断ち切っただと?!そんな事は不可能だ。まだ作る前だ。発動した一瞬の隙をついてならまだ分かる。

 だが、まだ作る前に切るなんて芸当、おそらくスサノオでも出来ない。


『流石は勇者カズトだ。未来も断ち切るとは、ワシにも出来ん神業だ』

「凄い魔力と集中力を必要になったが成功した」


 かなり魔力を持っていかれた感触があり、これは連発出来ないと察した。


「転移がダメなら時間を止めるまで。【時間停止タイムストップ】」

「まっ……………」


 《世界ザ・ワールド》の周囲が灰色に変わった。カズトとスサノオの動きが止まっている。瞬きや微細な筋肉の動きまでも止まっており、空気の流れも感じない。


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