249食目、フライドポテトの花とマヨネーズの実
リンカ達が6人の魔王種と相対してる頃、2日続けて案内役のギューとドンと一緒に食材の楽園に潜ってる。
「今日は何処へ向かいましょう?」
「昨日とは別のところが良い」
昨日から抱いていた違和感がある。そして、今日その違和感に少し歩いて見て気がついた。ここは四季や気候がバラバラなんだ。
肉や魚は論外だが、植物由来の食材に関しては見事にバラバラだ。これも食材の楽園の中だからか?本当に不思議なところだ。
少し歩いたら寒かったり、湿度が高くジメジメと蒸し暑いと様変わりする。なるほど、こうも気候が変わっては、ここでは長時間人間を含め種族全般は住めないだろう。
「ふぅ、ここは熱いな」
「我々で把握してるところ、ここら辺が一番生い茂ってる箇所となります」
まるで日本からアマゾンか南国にワープした気分になる。周囲の植物は、どれも背丈がゆうに俺らの数倍はある。
「バナナとマンゴー、パイナップルにドラゴンフルーツ、ココナッツ、ランプータンまでありやがる」
地球の南国フルーツもそうだが、カズトが知らない。いや、地球じゃない植物も生えている。
「なんだこれ?フライポテトの花?」
湯気が立ってる花を見つけたと思いきや花弁の箇所が、まんま某有名ハンバーガーチェーン店のフライドポテトにそっくりな花が咲いている。
思わず気になり、手を伸ばしむしって食べる事にする。
むしゃむしゃ…………ゴクン
良い塩加減で、揚げたてで美味い。だが、美味しいはずだが何処か物足りなさを感じるのは何故か?
腹をためるだけなら良いが、料理人としての意見からすると不十分だ。何処が足りないのかと問われると言葉には出来ないが、確かに足りないと心の奥底から感じて仕方ない。
「剣の勇者殿、それ美味しいのですか?」
「うん?私の世界にあった食べ物です。ただ、こういう風に生えていないが…………食べて見るか?」
ギューとドンにフライドポテトの花をむしって皿に盛り付けた。近くにケッチャプの実もあり、それを割ると真っ赤なケッチャプが溢れて来た。
フライドポテトの側に盛ると、ファミレスやカラオケに出て来るまんまのフライドポテトの盛り合わせになった。
「これをつけると、更に美味しくなる」
パクっとケッチャプをつけたフライドポテトを俺は口に放り込む。トマトの酸味とフライドポテトの塩気が、また食欲が増進される。だが、相変わらず何処か物足りなさがある。
恐る恐る血の様に赤いケッチャプをつけるギューとドン。お互い目を見つめ合い頷き、パクっと口に含んだ。
モグモグモグモグ
「んっ!これは!」
「美味しい」
パクパクパクパク
あっという間に山盛りなフライドポテトは空となった。ここにコーラとハンバーガーがあれば最強な組み合わせとなっていた。
おそらく、ここが神樹の森フリーヘイムでなければ用意してたかもしれない。
「美味しいけど、何か物足りない」
それ、分かる。まだ想像の域は出ないが、さっきみたいにそのまま食べると、物足りなさを感じるのだろう。見た目は調理済だが。
昨日のニブル王陛下らに出した料理みたいに調理すれば、物足りなさを解消出来るかと俺は予想してる。
それって詰まる所、森精族には到底無理ゲーじゃないか。
「ケッチャプがあるなら、マヨネーズの実もありそうだな」
「マヨネーズ?」
「それも美味しいのですか?」
グイグイと俺に詰寄るギューとドン。余っ程、ケッチャプをつけたフライドポテトが美味しかったのか?目が血走ってる。少し怖い。
「あぁ、俺らの世界では何にでもマヨネーズを掛けるマヨラーという言葉が生まれたくらいに美味しい」
俺は、マヨラーではないが同級生に3人くらいはいた。俺からしたら身体に悪いし、良くあんなに掛けて食えるなぁと逆に関心してしまう時があった。
だが、それだけマヨネーズには、それだけ食欲を増進させる効果があるのも事実だ。
「あっ、見つけた」
噂をすれば何とやらだ。本当にあるとは思いもしなかった。【鑑定】でマヨネーズの実と結果が出た実を見つけた。いや、見つけてしまった。
絞り出すように割ると、白い半液状の物体が出て来た。ペロリと舐めると、まさにマヨネーズの味だ。だが、やはり何処か物足りなさを感じる。