SS1-95、帝国の三勇者~ドローン兵器~
前魔王が、オーク・ロードを操り後退しようにもサンダルフォンの方が早い。
サンダルフォンの薙ぎ払いが、オーク・ロードの胴体に当たり切断、上と下とで分かれた。普通ならこれで討伐完了となるはずだ。
だが、前魔王に寄生されてる。前魔王が生きてるとは言えないが、あの戦鎚を破壊しない限り復活してくるだろう。
《グッハハハハ、やってくれたな。だが、甘いわ》
切り口から真っ黒いオーラみたいな物質が増え、上半身と下半身のオーラが繋いでいき、何も無かったのようにくっ付いた。
「まぁ分かっていたけどね」
これくらいで殺られていたら、どれだけ楽な事か。本体となっている戦鎚を壊せば済む話だが、前魔王が宿ってる戦鎚が楽に壊せるとは思えない。
だが、楽しくて仕方ない。ココア様は、呆れるかも知れないが、ボクは大発明家。困難な程に燃える。解体して研究したい。
「うむ、チリにしても戻りそうだ」
《やってみれるならやってみるが良い》
「そうかい?なら、遠慮なく。オメリルの盾よ、敵を射抜く砲を顕現せよ」
剣が引っ込み、代わりに玉を打ち出す大砲ではなくビームを打ち出しそうな機械仕掛けの砲が出現した。
《何だ?それは》
「説明しても理解出来ないだろうね。エネルギーチャージ開始。10%………20%…………30%」
《ワシは王だぞ?王の質問には答えろ》
痺れを切らした前魔王は、サンダルフォンに襲いかかろうとしている。だが、チャージ中のサンダルフォンは無防備で動けない。
「こんな隙が大きくなる行為に何も対策してないと思ったか?そんな訳ないだろう。DR-1から10まで展開」
サンダルフォンの背後からドローンが10機飛び上がり、前魔王を牽制・防御をする。
《こんなハエで、ワシの攻撃を受け止められるものかぁ》
「それは、どうかな?大発明家であるボクが作った物だぞ?」
現在地球でもドローンが開発されて間もない。そんな代物を、もちろん前魔王は見た事ないし、この世界で知ってるのは勇者だけ。
だけど、自称:大発明家と言うサンダルフォンがタダのドローンを作る訳がない。
「GR1から3、Gフォーメーション」
3機のドローンが各々から伸びた光の帯で繋がり、3機の中央に光の障壁を形成し、サンダルフォンを守る。
《ウォォォォォォォォ》
隕石がクレーターを作る程の威力を持つ前魔王の一撃。本来なら防ぐ事も避ける事もままならないが、サンダルフォンを守るドローン3機が形成する障壁に阻まれて届かない。
「DR-4から8、Aフォーメーション」
4から8までの機体の下部から銃口が出現し、それを前魔王に照準を合わせ一斉射撃。
バンババババババン
《何だこれは!うっとしい。こんなの痛くも痒くもないわぁ》
本体である戦鎚に擦り傷もつかないし、オーク・ロードにも多少アザが出来る位で大したダメージを与えていない様子。
「DR-9と10、Mを用意……………発射っ」
9と10番機の下部に小型のミサイルがガコンと設置され、前魔王に発射される。
ドッカーン
先程の前魔王からしたら豆鉄砲みたいな射撃とは違い、こちらはオーク・ロードの腕が吹き飛ばす程の威力はある。
1人の魔導師が、ここまでの魔法使えるのに費やす時間は、凡そ30年は下らない。それ程にサンダルフォンの技術で作成したミサイルの威力は凄まじい。
「ミサイルは、まだ改良の余地はあるっと。ガトリングガンは、まだまだ実践では使えないかぁ。あっ…………溜まった」
ウィンウィンとオメリルの砲口の先端にエネルギーが今直ぐにでも破裂する寸前と誰にでも分かる程までに膨れ上がってる。
《なっ!あれ程の魔力なのか?アレを喰らったら、ヤバそうだ》
「逃がさないよ。DR-1から4、Cフォーメーション。あいつを捕まえろ」
ドローンの1番機から4番機が、先端に分銅が付いてる鎖を発射しオーク・ロードの身体に巻き付かせた。
鎖を解こうとするが上手く行かない。それもそのはず、鎖には魔力が帯びており1回巻き付かれると、磁石のようにくっ付いて中々取れない仕組みとなっている。
《こしゃくなぁぁぁぁぁ》
「【超電魔砲】発射」
ドゴォォォォォォン
捕まえているドローン4機諸共、凄まじいエネルギーによるビームに木っ端微塵となった。




