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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
5章神樹の森フリーヘイム

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SS1-91、帝国の三勇者~前魔王~

 《そうか、残念だ》


 オーク・ロード…………いや、最早オーク・ロードではない。前魔王と呼ぶべきか。

 前魔王が、腕を上空へ掲げると柄が数m伸び、振り下ろすのと同時に頭が数十倍大きくなった。まるで隕石と変わらない。


 《押し潰れて死ね》


 ドガァァァァァン


 戦鎚の頭が元の大きさに戻ると、数十mほどのクレーターが出来ていた。


 《なぬ?いない?》

「ここよ!【音武器サウンドウェポントランペット】」


 私を探してる内に前魔王の背後を取り、ラッパを召喚し思いっ切り息を吸い込み、マウスピースに唇を付け吐いた。

 そうすると音の排出口であるベルからトルネード状の衝撃波が、ほぼゼロ距離で前魔王を襲う。

 ピストンを押す組み合わせによって威力の調整が可能で、徐々に威力を最大限に挙げる。

 地面を広範囲に抉り、あの距離では避ける術はないはずだ。吹き飛んだか消し炭になったかは不明だが、まだ殺られていないと分かる。


 《クッカカカカ、やるのぉ》

「無傷なんてキズつくんですけど」

 《いやいや、良く見ると良い。腕と足が吹き飛んでおるではないか》


 確かにオーク・ロードの腕や足は吹き飛んでいるが、最早もう本体となっている呪われた戦鎚とそれを握っている腕は他のところと比べても無傷で、オーク・ロードの身体は最早飾りと化してる。


「何を言っているの?アナタは無傷じゃない。どうせ、オーク・ロードの腕や足は直ぐに直せるのでしょ?」

 《クッカカカカ、全てはお見通しか》


 塵が集まるように腕と足が再生していく。予想していた事だけど、あれではいくらオーク・ロードを攻撃しようとも前魔王が宿った呪われし戦鎚自体が無事なら永遠に動き続けられる。

 そして、こちらは疲労が溜まっていき、いずれ捕まり嬲り殺しにされるのがオチだ。


 《クッカカカカ、やはり魔王種は良い。直りは早いし身体に馴染む》


 普通、回復には早くても数分は掛かるものだが、あれでは超速再生と呼ぶべき代物だ。数秒しか経っていない。


「化け物め」

 《嬉しいのぉ。最高の褒め言葉じゃ。それ次はこうじゃ。【召喚サモン豚将軍オークジェネラル】》


 オーク・ロードを乗っ取た状態だと、オーク・ロードの技術スキルや魔法が使えるみたいだ。

 ただ、召喚されたオーク共の様子が、どこかオカシイ。何と言ったら良いのか?目が虚ろになっており、自我をどこかに置いて来たような…………そんな感じに見える。


 《ふむ。ワシのオーラに当てられて狂化されたようじゃのぉ》


 狂化…………つまりは、自我を失う代わりに様々なステータスをアップしたという事だ。

 ただし、自我がないという事は覚えてる技術スキルや魔法が使えない事を意味する。


『『『『ギャォォォォォ』』』』


 狂化オーク共が一斉に雄叫びを挙げる。甲高い叫びに、こちらの耳がイカれそうで両耳を押さえるのに精一杯だ。


「こ、これは【咆哮】?」


【魔王の咆哮】とは違い、ランダムに自分自身・味方へバフを掛けるという技術スキル

 ほぼどんな魔物モンスターも習得可能であるが故、もしも高レベルな魔物モンスターが使用したら逃げる事を推奨される。

 何故かというと、一層凶暴化し高ランク冒険者ハンターパーティでも手が付けられなくなるからだ。


「それも高位な【咆哮】みたいね」


 狂化が相まって【魔王の咆哮】に近いレベルまで格上げされているようだ。まさに狂化による強化という事だ。


 《クッカカカカ、これ程の数をどうにか出来るかな?》

「出来なきゃ勇者じゃないわよ」


 本当は使いたくなかったが仕方ない。誰もいないし私も久々にシリーズ系を使いますか。


「私はね。属性系の聖武器が使えないのよ」

 《それが、どうしたというのだ》

「その代わりにね、シリーズ系が強烈なのよ。教えて挙げる。私のシリーズ系はね、七つの美徳なのよ」


 どういう訳か、メグミと正反対な技術スキルを授かってしまった。強烈な上、おいそれと仲間がいる前では使えない。いや、使いたくないと言った方が正しいか?

 何故なら、例外なく背中から天使の羽根を思わせる白くて身長程のある羽根が生えるのである。私にとっては、それが恥ずかしくて使いたくないのである。

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