表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
5章神樹の森フリーヘイム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

488/551

SS1-83、帝国の三勇者~星影~

『なにっ!キサマ!遠隔でも操作出来るのか!』


 ジャックをタダの脳筋だと思っていた。物質の遠隔操作なんて、魔法使いの十八番おはこな高等技術だ。

 属性を纏った拳を放つ事は、筋肉を鍛え見た目近距離系を得意とする武闘家なら誰しも考え付くであろう中距離技だから、リザード・ロードもそう判断した。

 だから、けして魔法使いみたいな技をやらないと勝手に憶測で考えてしまった。


「俺もこの戦いの中で強くなってるんだ」

『だが、まだ甘いようだな?捕まえてどうする?その状態で動けるのか?』


 基本的に1つの魔法や技術スキル発動中に他の技を発動する事は無理なのである。2つ以上の技術スキルを使用出来る者がいるとするならば、例外を除き勇者のみである。

 だから、拘束する魔法や技術スキルを使ってる間に攻撃は出来ないのである。


『だから、離せよ。苦しい顔をしてるじゃないか?慣れない遠隔操作で疲れて来てるんだろ?』

「くっ」


 直感でやれるではないかと思ったが、ここまでキツいとは思いもしなかった。見た目以上に属性の遠隔操作は疲れる。


「ハァハァ」

『やっと離してくれたか』


 遠く離れた水の塊で捕まえて置くことには限界で解いてしまった。まるで、水の中で息を止めてる感じに似ている。


『ほら背後が、がら空きですぞ』


 いくら息を切らしていても背後を取られるバカな真似はしない。一瞬、目を離した隙に目の前からいなくなり、数秒時間が掛からない間に俺の背後に移動してした。


「ちっ【旋風脚】」

『おっと、危ない…………ではないですか』


 また背後から声がして、今度は槍を突いて俺の顔面を狙って来た。背中を逸らし避けたが腑に落ちない。

 蹴りを後退して避けたはずのリザード・ロードが、また背後にいた。これは瞬間移動しないと説明がつかない。


『不思議と思ってるようですね』

「あぁ、いくら速度が早くとも、あの一瞬で背後に回ることは不可能だ」

『答えはこれです。【星影】、影と影を移動する技術スキルであります』


 影と影を移動する。それなら説明がつく。どんなに離れていても一瞬で移動出来てしまう。


「教えても良いのか?」

『教えても対策が難しいでしょう。なんら問題ない』


 確かに難しいが、来るところが分かってしまえば防ぐ事は出来る。影から影に移動という事は、ほぼ真下から来る可能性が高い。


『移動が出来るという事は、こういう事も出来る【星影・鋭】』


 リザード・ロードが自分の影に槍を突き刺した。そうすると、不思議な事に沼みたいに槍の先端が吸い込まれ、その槍の先端は俺の影から顔面目掛けて突き出て来た。


「うおっ!」


 紙一重に躱した。後、数mmズレてたら風穴が空いていた。だが、1回だけでは終わらない。


『動物の直感とはいえ、良く躱しますね』

「ちょっ、やめ!止めろって言ってるんだろ!【水鉄砲】」

『ゲフッ』


 狙いを定められない状況で、右手を銃の形に握り影からの槍を躱しながら指先から小粒サイズの水の弾をジェット機と思われる程の水圧で打ち出した。

 その威力は、十数mmの鋼の板を貫通する程の威力を持つ。そんな弾が、ちょうどリザード・ロードの脇腹から少しズレたところに当たった。


 命中した水の弾は、散弾し脇腹の6割を吹き飛ばした。血が吹き出て、よろよろと立っていられるのが奇跡な程の惨状であり、生きてるのが信じられないとジャックも見詰めている。


「おい、生きてるのか?」

『ゲホッガハッ…………な………める…………な…………ワレは…………魔王………種………だぞ』


 話せば話す程に口元からゴボゴボと血を吹き出して今にでも死にそうなのは誰の目でも明らかだ。

 だが、そこは魔王種といったところだ。えぐれた脇腹から肉が増殖し何も無かったのように傷口が塞がった。


『魔力や体力を、ごっそり持っていかれるが、どんな傷でもたちまち回復する【超再生】だ』


 俺もタフな方だが、あそこまでの傷を回復出来るかって聞かれたら一応出来ると言うが、こんな短時間では無理だ。


「ふぅ、焦ったぜ」

『変なヤツだ。敵の心配するとは』

「俺の目的は、ここから出る事でお前を殺すことではない」


相手を殺す事が条件なら、俺は何回でも殺さない。それが俺の信条なのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ