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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
5章神樹の森フリーヘイム

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SS1-75、帝国の三勇者~スターダスト~

『なにっ?!ワスの竜巻が凍っている!』


 1個だけではない。全ての竜巻が氷づき、風の刃も止まっている。


「これがオレの魔法の力だ」

『ふんっ、ただ竜巻を凍らせただけではないか。炎は凍らせまい』

「それは止めた方が良い」


 ゴブリン・ロードが右手から炎を出そうとした瞬間、ピキっと凍り付く音がした。


『ぐおっ!』

「忠告したのに出すから、そうなる」


 炎が凍り付き、それとゼロ距離であった右手も指先が動けない程に氷の中に閉じ込められてしまった。


『ワスの手がぁぁぁぁぁ』


 本当なら身体全体を氷漬けにしようとしたが、手だけで済んで逆にラッキーだった。

 魔王種という事もあり魔法には耐性があるのだろう。全体氷漬けを抑えただけではなく、もう既に右手の氷が溶け始めた。


『ぐっ…………こんな氷程度直ぐに溶かしてやるぅ』

「そんな時間を与えると思ってるのか?【氷上連打スケートダンス】」


 まるで氷の上でアイススケートで踊るように間髪入れず連続の蹴りで隙を与えない。


『ゲホッゴホッグハッ』

「とりやぁっ、ほあっちゃ」


 ドカッビキッバシッダンッ


 タダの連続蹴りではない。足のつま先に氷属性の魔力が籠ってる蹴りだ。暖かい時よりも冷たい方が痛く感じるような同じ理屈で数段ダメージが入る。


「ハァハァ」

『ゲホッゴホッ』


 何てタフなんだ。あれだけ入れたのに倒れずに立っている。むしろ、こっちの方が息が挙がってしまう始末だ。


『効かんなぁ。お陰で右手の氷が溶けたぞ』


 ゴブリン・ロードの言う通りに氷漬けになっていた右手の動作は鈍いようだが元に戻っている。

 だが、まだ効力は続いている。この程度で終わっていては極級魔法とは呼べない。

 派手さはないが、その効果は絶大で今も発動中である。竜巻とゴブリン・ロードの右手を凍らせたのは単なる副作用。本来の効力は別にある。

 ただ相手が強いと効果が出る時間が掛かってしまうだけ。この魔法を発動した時点で、オレの勝ちは確定している。


「本当に効いてない?」

『効く訳…………グハッ………な、何だこれは!』


 ゴブリン・ロードが突然吐血した。アクアの連続蹴りによるダメージからではない。


『こ、これは…………一体?!』

「やっと効いてきたか。随分とタフな身体をお持ちなようだな。これは、オレの魔法の力だ」


 目に見えない氷の刃を発生させる事が本来の効力。氷の刃が空気と一緒に呼吸する時に、ゴブリン・ロードの体内に入り込み内蔵をズタボロにする。

 その過程で、相手の魔法を凍らせ無力化する副作用が発生する訳だ。


『ゲホッガハッ』

「もう十二分に動けないだろう」


 ギリギリ息をするのでやっとのご様子。常人ならもう既に息を引き取ってる重症だ。


『シューシュー、こ、殺せ』


 ゴブリン・ロードの身体のあちこちから血が滲み出て、これでまだ息をしてる事が信じられない位の生命力の強さだ。

 だが、もう時間の問題。魔王種や一部の魔物モンスターには、超再生といえる程の回復力を持ってる者がいるが、ここまでズタボロになりゃ自慢な回復力も諦めるってものだ。


「もう風前の灯火だからイヤだ。オレは、弱い者イジメする性格じゃないんだ。安心しろ、もう死ぬのも時間の問題だ」


 もう指先を動かす気力もないらしい。ただゴブリン・ロードの瞳が、こちらを向いてるだけで何時息を引き取ってもおかしくない。


「強かった。弱者と言った事は謝る」

『シューシュー、ゴホッ』


 僅かに口を動かしたところ、ゴホッと大量の血が口から吹き出した。仲間なら急いで駆け付ける場面だが、相手はゴブリンで敵だ。

 だが、強者だったゴブリンに対して最後まで看取ってやるのがアクアにとっての礼儀だ。

 本当に強かった。魔物モンスターだった頃の記憶が戻らなかったら殺られていたのはアクアだったかもしれない。


「安らかに眠れ。オレは、今回の戦いを糧にもっと強くなる」


 息の音がしなくなり、左右の瞳が別々の方向に向いており、どうやら死んだようだ。


「ご主人様は、どうなったかな?」


 ゴブリン・ロードの死亡により世界が揺らぎ始め、アクアの身体が徐々に透けて透明になっていく。

 元の世界に帰れる時に起こる現象。慣れないと気持ち悪いが、完全に消えたと同時に、元にいた場所へ立っている。

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