SS2-6、アリスと3時のオヤツ~プリン・ア・ラ・モード~その2
いつもより少し短いです。
プリン・ア・ラ・モードはどんなデザートなのか?
簡単にいえば、プリン━━━正式名称:カスタードプディングを中心にした生クリーム・フルーツ数種・チョコやキャメル等のソースを盛り付けたデザートの総称だ。
発祥は日本の神奈川県横浜市にあるとされるホテル内のカフェが考案されたらしい。名前の由来はア・ラ・モードが『最新の流行の』という意味がある。
「これは食べても良いのかや?本当に食しても大丈夫なのかや?」
「ひ、姫様これはめちゃくちゃ高い品物ではないですか?!きっとそうですよ。後でお金をたんまりと請求する積もりなんですよ」
「そうなのか?!」
余りにも〝プリン・ア・ラ・モード〟が綺羅ビラかし過ぎて逆に後から金を取られやしないか疑心暗鬼になりつつある。そこで再度、犬耳ロリであるルーシーの登場だ。
「相席よ、よろしいでしょうか?」
アリスとシャルに提供したのと同じ〝プリン・ア・ラ・モード〟を持って来ると相席を提案した。
実はカズトの作戦で、まだ子供であるルーシーが目の前で食べれば流石に疑心暗鬼は解けるだろうと心遣いである。
それに宿泊客以外の客もルーシーを食べる姿を見て次から次へと注文するもんだから宣伝効果を相まって一石二鳥だ。
「うむ、構わないぞ。一緒に食べおうぞ。シャルもそれで構わないな」
「はい、姫様の仰せのままに…………それよりも、ルーシー殿…………撫でて良いですか」
主であるアリスにも厳しいシャルだが、鬼人族一の可愛い物好きと鬼人族の中では、知らない者はいないと言われてる。
ただし、本人は何故かバレてないと思ってる節がある。シャルの部屋には可愛い人形で飾り付けられてるのは周知の事実だ。
「わふっ!シャル様、言う前に触らないでください!ふにゃん」
シャルの撫で心地に気持ち良さそうな声が出てしまった。小動物を愛でるような撫でテクニックによってルーシーの瞳はトローンと蕩けて焦点が合ってない。
「シャル、それまでにしなさい。困ってるじゃない」
「ふにゃーんにゃーんはにゃーん」
「あっ………す、済まない!大丈夫か?」
お酒は飲んでないはずなのに、ルーシーは頬は真っ赤に染まり今直ぐにでも椅子から転げ落ちそうで落ちないユラユラと不安定な状態だ。
「はっ!シャル様、ヒドイですよ。早く食べないと溶けちゃいます」
「おっ!そうなのか?なら、早く食べないとな」
「シャルのせいでしょう。全くもう~」
ルーシーがスプーンで先に食べる場面を見せ、アリスとシャルはそれを真似して食べてみる。
シャルがルーシーを撫でている間にトッピングとして盛り付けてあるアイスが多少溶けてしまったがプリンに掛かり違った味付けとなって、これはこれで美味しいと口へ運ぶ手が止まらない。
「こ、これは!プルルンとした食感で実に面白い。こちらは冷たくて甘いのぉ」
「宝石に見えたのは果物のようですね。見たことない果物ですが、白いのと黄色いのと一緒に食べると…………う~ん、実に美味しいです」
「勇者様のデザートは今日も美味しいです」
ルーシーの尻尾がブンブンとご機嫌良く振られ、シャルに撫でまくられた事はもう遠い過去に忘れ去られたようだ。
女と子供は甘い物好きというが、ものの数分で三人とも見事に完食した。ペロリと平らげ、その表情は満足そうで笑顔満面だ。
ルーシーの実に美味しそうに食う様子は抜群の宣伝効果を生み出し、今現在食堂にいる者や何処からか噂を駆け付け今やってきた客は揃いも揃って〝プリン・ア・ラ・モード〟を注文した。
カズトの予想以上の売上で、およそ予想の5倍近くは売り上げたという。この結果、しばらくは〝プリン〟ブームになったのは別の話である。




