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39食目、獣耳従業員ゲットその4

 しばらくルーシーを脇に抱えピョンピョンと屋根から屋根へ跳んで数分間、目的地であるレストラン"カズト"の目の前へ着陸した。


「ふぅ、ほら着いた………よ?あはははは、大丈夫かい?」


 涙目になってるルーシーに笑いながら問い掛けるカズト。

 そんなカズトに涙を浮かばせながらルーシーは憤慨する。屋根を移動してる時は慣れる時間が合ったものの、何も言わないまま屋根から飛び降りたのだ。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!勇者様ぁぁぁぁ(怒)急に飛び降りるなんて………怖、怖かったんですからね!びぇぇぇぇん」

「会った時と同じで良いよ。兄ちゃんの方がしっくりくる」


 やべぇ、ここに居たら俺が少女を虐めてる風に見えてしまう。取り敢えず、勇者のスキルを用い神速如き速さで店舗の中に入りスタッフ専用の個室へと隠れる事にした。

 しかし、そこで着替えているレイラと目が合った。パチパチとお互いの視線が交差し、数秒後レイラの悲鳴が響き渡る。


「き、きゃぁぁぁぁぁ!」


 バタバタ

「レイラ、大丈夫?何があったの」


 バタンと扉が開きドロシーとミミが入って来る。

 カズトは二人が入る前に咄嗟の判断でロッカーの中へ隠れた。レイラが話してしまえば、それまでだが………話すなよ、お願いだから話すなよ。とレイラが黙っている事を祈るのみだ。


「ちょっと虫が出ただけだから大丈夫よ」


「それなら良いのだけれど………」


「………チラッ」


 神様女神様レイラ様ありがとうございます。

 レイラに感謝をしてるとミミがこちらをチラッと見た気がした。まさかここにいる事バレてる?ま、まさかな。あっははははは!

 ドロシーは納得仕切れない様子で部屋を出て行き、ミミはその後を追い掛けて行った。


「ほら、行ったわよ」


「た、助かったぁ~。レイラ、ありがとう」


「でも、どういう事か説明してくれるわよね?その子は誰なの?ニコッ」


 うぐっ!これをどう切り抜けよう。レイラの笑顔に冷や汗を掻きながら考える。

 言い訳より素直に話した方が良いか。カズトは説明しようとした瞬間、後ろから声がした。


「………カズトの隠し子?」



 いきなりミミが爆弾を投下した。ていうか何時からいた!ドロシーと一緒に部屋から出て行ったじゃないのか!


「えっ!僕って、兄ちゃんの子供なの?」


 お前もなに余計な事言ってるの!目の前に怖い怖いお姉さんがいるんだから。余計に誤解しちゃうよ。


「か、かかかか隠し子!カズトどういう事か説明して説明しろ説明しなさいぃぃぃぃ」


 俺の肩をガクンガクンと揺らしまくってる。これじゃぁ、話せないし、顔面が蒼白に染まり何か気持ち悪くなってきた。


「止めれぇぇぇぇ。話すから話すから止めて」


 そう言うとレイラがパッと離したら一気に何かが喉の奥底から逆流し吐き出す寸前でバケツを取り出す事に成功し、その中に盛大な勢いで吐き出す。床に撒き散らす事にはならなくて良かったというべきか。


「グゲロボロォォォォ………ゲホゲホ………あぁ、スッキリした」


 全部吐き終え顔色に生気が戻ってきた。が、問題はまだ目の前にある。仁王立ちで直立してるレイラがこちらを睨み付けてるのだ。やっぱり説明しないとしょうがないか。


「このの名前はルーシーだ。明日からここで働いて貰おうと俺がスカウトした訳だけど、レイラは賛成かな?」


「………はぁ、出逢い当初から獣人好きなもんね。それに………こんな可愛いなら賛成わよ」


「………ミミはカズトの指示に従います」


 そういえば、レイラとドロシーは可愛い物好きだから心配は無駄だったかな。ミミはミミで俺に従順だからな。今だに何故なのか不明だが。後は………ドロシーとスゥで全員に紹介した事になる。


「僕はルーシー・ファン・レントシーです。レイラ姉さんにミミ姉さん、よろしくお願いします」


「姉さん!ルーちゃん可愛い!ねぇ、本当に私の妹にならない。ハァハァ」


「ルーちゃん!ちゃん付けは止めて下さい。それに………あっそこは気持ち良いです。ふにゃん」


 ペコリとお辞儀をすると、それがレイラの"可愛いさのツボ"にはまったのか急にルーシーに抱き着き頬をスリスリとされてる。

 ルーシーもそれが気持ち良さそうで最初は抵抗を見せていたが瞳を細めウットリとリラックスしてる風にレイラに体を預けている。こう見るとなんか姉妹に見えてくる。


「………レントシー………レントシー………何処かで聞いた覚えがあるような無いような………」


 ミミがそう呟きで、カズトはルーシーがここで働く条件を思い出した。別に忘れてた訳じゃないよ、ちゃんと後でみんなに話そうと思ってたから。

ミミは何度か呟くが今のところ思い出せない様子で諦めたようだ。


「ルーシーには、実は生き別れの妹がいるみたいなんだ。その妹さんを探してあげる事がここで働く条件なんだ」


「ルーシーの妹、絶対見つけてやるわよ。こんなに可愛いルーシーなんだもの。絶対に妹さんも可愛いわよね」


 何かちょっと探す主旨が違うような気がするが、見つかれば何だって良い。俺も勇者というツテを思う増分フル活用し探す事にする。


「………ミミも魔法研究所のツテで探す事にします」


 おぉ、とても心強い。ミミが所属してた研究所には様々な魔法に特化した精鋭揃いなのだ。まぁその中でミミは断トツに群を抜いていた。

 でも、近い将来まさかルーシーの妹本人がこの店に自ら訪れるとは誰も予想出来ずにいたのである。


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