238食目、神樹の森フリーヘイム到着
「ここが神樹の森か」
昼と夜に休憩を挟みながら3日走行して神樹の森の入口まで着いた。ここからは徒歩となる。
「別名:迷いの森、入ったら最後決まった通路を通らないと入口まで戻されてしまうという」
つまりは、この森自体がフリーヘイムの要塞になっているのだ。探知魔法や飛行魔法も効かない。
この森を突破する方法は3つある。1つ目は、先程言った決まった通路を進む方法。
2つ目は、森精族の王フレイ・ニブルから渡された森の証というアイテムを身に着ける事。そうする事で正しい道順が分かるようになるらしい。
3つ目は、森精族に案内させる事。森精族には、神樹の森による迷いの効果が効かない。
「森の証を身に着けてと。よし、行こうか」
カズトを先頭に神樹の森へと入って行く。見た目は普通に森だ。だが、この森全体がダンジョンと化しているのが分かる。
ダンジョン特有の雰囲気というか気配みたいなものが肌からじんわりと伝わって来てる。
だが、森の証の効果だろうか?魔物には1度も会う事なくフリーヘイムの門らしき場所にほんの数分で辿り着いた。
聞いた話によると、正しい順路で進んでも徒歩で半日〜1日は掛かる話であった。だから、俺達は少しの間呆然と立ち尽くしていた。
「もしや剣の勇者様御一行ではありませんか?」
「そ、そうですが」
おそらく、フリーヘイムに仕える衛兵だろう。門を警備してるらしく、俺らを怪しく思って話し掛けても仕方ない。
「失礼致しました。我々はフリーヘイムの門周辺を警護を任命されていますダイムとライムであります。お話は我が王より申し渡させております」
「こちらへどうぞ。我々がご案内致します」
正門らしき巨大な門ではなく横に据えている小さい門から中に案内された。
そこは目を見張る程にキレイな光景であった。全ての建物は木の上に建てられいるツリーハウスであり、鉄や石等の鉱石は一切使われていない。
話には聞いてたが、これは素晴らしいの一言に尽きる。異世界でも1位2位を争う程の景観だ。
「あちらに見えますは我が王がお住まいでありますヘイム城です」
「大きいな」
「デカっ!」
「これは壮観なのよ」
「リンカも初めて見る」
「これ程とは」
「凄いです」
普通に建ってるツリーハウスとは比べるまでもなく大きいな大樹。背丈は空が貫通してるのでは?と思う程に高く、まったく先が見えない。軸周りの太さは人間換算で両手を広げて一周するには、およそ500人は必要かと思われる。
「そして、我々が誇る神樹でもあります。神樹の根本にヘイム城の入口があります」
「ふへぇー」
異世界では神樹と呼ばれるが、他の世界だと世界樹とも呼ばれている。世界を支える大木だと云われている。
「さぁ着きました」
やはりデカい。見上げるのに首が痛くなる。神樹の肌を触って見ると生命の神秘というのが良く分かる。
ドクンドクンと心臓が脈を打つようにしっかりと生きてるというのが実感出来る。
「こちらへどうぞ。陛下がお待ちでございます」
ダイムとライムに着いて行くと、神樹兼ヘイム城の中はもっと凄かった。
床から壁に階段に加え、それぞれの部屋に至るまで全て神樹の細胞から作られているようだ。
「ここが玉座の間で御座います。我々は、ここまでとさせて頂きます」
「案内ありがとう」
何処の玉座の間の扉は大きく作らないとしょうがない風習でもあるのか?文化が違えど、これは変わらない。
「良く来てくれた、剣の勇者殿」
「お久しぶりです。ニブル王陛下」
片膝を付き頭を垂れる。ニブル王陛下の隣には王妃がいる。やはり森精族は長寿な種族なだけあって美男美女揃いだ。
案内してくれた衛兵2人も顔立ちが整っており、勇者でなければトキメイていたかもしれない。
「顔を上げておくれ。そちと余の仲ではないか」
「はっ!」
「後ろの方々は初めて見るな」
「ご紹介させて頂きます。こちらから、拳の勇者リンカ・槍の勇者メグミ・歌の勇者ココア・Aランク冒険者ジャック・獣人のアクアでございます。この度は、この私と共に行動をしていた次第です」
「ほぉ、剣の勇者殿の他に勇者が3人とは」
普通は勇者1人でも国家戦力となるのに、それが4人もいるとなると流石の国王でも驚くというものである。




