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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
5章神樹の森フリーヘイム

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233食目、マーリンからグフィーラ王国へ帰還

 やっと帰ってこれた。まるで十年は魔法大国マーリンにいた気分だ。そんなこんなで帰って来れた俺達は、先ず王様と王妃様を王城へと送らないければならない。

 その送った後で店がある古都に戻るのに3日は掛かる。別に距離の問題ではない。

 今回の任務による恩賜を賜る式があるのだ。普通なら叙任されるところだが、勇者は例外として金貨やレアな武器・防具等を与えられる。


「ご苦労であった。此度、魔神教会との戦いがあったが、みな無事で戻ってこれた。その褒美を与えよう」

「有難き幸せ」


 簡易的なもので、数人騎士が滞在してるだけで他に貴族は見当たらない。


「こちらになります」

「ありがとうございます」


 王様の側にいた執事長が、台に乗せた袋を俺に渡す。袋の重量的に結構な金貨が入ってるようだ。


「うむ、また世話になるだろうが、その時は頼む」

「国王陛下が、頭を下げないでください」


 王様の頼みは簡単には断れられない。こちらには、レイラがいるのだから。


「そう言って貰えて助かる。して、孫の顔が早く見たいのじゃが」

「お、俺はこれで失礼致します」


 そそくさにここは退散するに限る。レイラ達がいる部屋に戻り、早くみんながいる店に帰りたい。


「ただいま」

「カズト、お父様の話は終わりました?」

「あぁ、終わったよ。それで、ニーニエが何でここにいるのかな?」


 俺達が魔法大国マーリンから帰る際、馬車にいなかったよね?


「いやですわ、剣の勇者(カズト)様。私と剣の勇者(カズト)様の仲じゃないですの」

「えーと」


 ジーーーっとレイラが鋭い眼力で見詰めて心が抉られる感覚に陥る。


「そうでした。こちら母様からの手紙でございます」

「えっ?マーリン女王陛下から?」


 剣の勇者殿へ


 今の現状では魔法大国マーリンも安全とはいえぬ。そこで最も安全と云える場所は、お主の店であるレストラン”カズト“という結論に至った。

 なので、ニーニエをそちらに送る事にした。けして、泣かす事にないようにな。もし、泣かす事があれば……………どうなるか分かっておろうのぉ。



 追伸


 もし出来てしまっても不敬とは致さないと誓うからのぉ。楽しみにしとる。


 魔法大国マーリン女王マーリンより


 追伸は余計だ!


「なんと書かれていました?」


 ドキッ

「ニーニエをよろしく頼むと書いてあった」


 心臓に悪い。これを見られたら、また裁判になってしまう。レイラに見られる前に速やかに処分しないと。


 しょい

「ふむふむ成る程」

「れ、レイラ?」


 脇からレイラにマーリン女王の手紙を掠め取られた。これはヤバい。冷や汗がダラダラと伝い落ちる。


「カズト、何逃げようとしてるの?」

「に、逃げるなんてとんでもない。ただ、トイレに行こうと」

「そこに立ってなさい。良いわね」

「はひっ!」


 勇者であっても嫁は怒らせたくないものだ。もう顔面蒼白、頭の中が真っ白でパニックになってる。


「ニーニエ、1つだけ聞くわ。あなた、カズトの事好き?」

「えっ?剣の勇者(カズト)様の事をですか?」

「大事な事なの。カズトと一緒になりたい?」

「私は…………私は剣の勇者(カズト)様の事が好きです。ファンよりも……………その………添い遂げたいと思います」

「だ、そうよ?」


 何で俺に振る?それにニーニエまで何で俺を見る?!


「はぁー、ここまで着いて来たんだ。今更、追い返す訳にはいかまい」

剣の勇者(カズト)様ありがとうございます」


 ニーニエが俺の左腕に抱き着く。ムニュっと当たっているのだが、これは態とだろうか?


「あっ、ズルい。こちらを貰うわ」


 右腕には、レイラが抱き着く。端から見たら両手に花だろうが、やられる方はたまったものじゃない。

 まだここが王城の客室だから良いものの、外で同じ事をやられたら嫉妬の視線に針の筵だ。


「レイラとニーニエ分かったから、俺達のいえへ早く帰ろう」

「それもそうね」

「私は、まだ抱き着いていたのだけれど、剣の勇者(カズト)様に嫌われたくないから離れる」


 既に門の外に馬車が待機してるらしい。その馬車で、およそ3日ほど掛かる。さぁ本当に我が家に帰るぞ。

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