232食目、携帯電話
サンドラ以外起き上がってから2週間程経過した。魔法大国マーリンの復旧の手伝いや負傷者の治療・看病、王族らが集まっての会議等、忙しい日々を過ごした。
「もう少しで帰れるな」
まだ復興されてない地域はあるが、城はほぼ元通りとなり最低限生活に支障が出ないところまでは復旧出来た。
これも各々の勇者が得意とする事で復興が大幅に進んだ。俺は、もちろん料理で食べた者のステータスを一時的に上げた。
それと【異世界通販】にて買った商品により時間が掛かる箇所を時間短縮させた。
「剣の勇者様、会議のお時間でございます」
「あぁありがとう」
王族らが出席する会議にも勇者が呼ばれる。居ても居なくても同じだと思うが念のため同席する。
「全員揃ったな。これから会議を始める」
司会進行役を担ってるマーリン女王。
「一先ず礼を言おう。我が国の復興に手を貸して頂き、この御恩はいつか必ず返そう」
マーリン女王が、みんないる中で頭を下げた。それを黙って、他の王らは見詰めている。
家臣や庶民に頭を下げるのはご法度だが、同じ地位である王同士なら黙って頭を上げるのを待つのがルールである。
「それで王全員に渡して置きたいものがある。カズト殿」
「こちらを、国王陛下全員1台ずつ受け取りください」
「これは?」
「携帯電話という魔道具です」
【異世界通販】で、人数分の携帯を買った。電気で動く物は魔道具と変化しやすく、携帯も例外に漏れず魔道具と変貌した。
その能力とは、まぁ普通の携帯と変わらない。ただ電気の変わりに魔力が必要となるだけ。それと地球との電波もキャッチするようで、あちらの情報も見聞き出来る。
「それらは、遠距離通話が可能になる魔道具です。どんな場所にいようと繋がります」
「ほぉこれがな。だが、連絡する手段としたら水晶玉があるのではないか」
魔法に詳しい森精族の王、フレイ陛下が駄目出しを言う。確かに同じような効果を持つ魔道具がある。だが、大きく違うところがある。その前に依存の魔道具について説明した方が良いだろう。
水晶玉とは、ギルドや各地域に重要な施設で管理されてる魔道具で正確には【遠見の水晶玉】と呼ばれる。
文字通り、遠くの人とやり取りが出来る魔道具だが、何箇所か欠点があり、とても1人では運び出せない程に巨大で、その設置してる場所から移動が出来ず大量な魔力が必要という欠点がある。
だから、1回使用につき十数人の魔導師が必要であり燃費が非常に悪い。
「この携帯電話は、少ない魔力で動きます。それも気付かない程の魔力で」
地球でもスマホに使われてるタッチパネルも人の指から微弱な電気が流れて反応する。その反応する毎に電気が流れたとは感じない。それと同じだ。
「それと通話だけではありません。こういう風にテレビ電話も出来て、その他にも様々な機能があります」
「こんな小さいのに…………魔道具に革命が起こるではないか?」
「戦いとは、何も戦闘力を競うものではない。情報戦で戦力差を引っくり返る事もあるからのぉ」
普段から魔法を使ってる種族の国王らには評判は良いが、身体が資本の鬼人族や巨人族には、そもそも魔道具に関心がない。
「そんなに良いものなの?」
「戦いとは筋肉でやるものよ。ガッハハハハ」
まぁそうなるよな。魔道具が無くとも今までやってきたのだから。でも、娯楽が少ない世界で携帯電話の誘惑に勝てるかな?
地球でもそうだった。1回文明の利器の便利さや楽しさを知るともう手放せなくなる。
「こんな事も出来るのです。ヒソヒソ」
「なんと!それは真か?」
「これは面白いわ」
「妾にも教えよ」
「儂にも教えてくれるのじゃろうな?」
「皆さんに教えますので」
携帯電話での通知やメールだけじゃない。様々なアプリを特に娯楽であるゲームアプリを徹底的に論じた。
今までの国王の重責によるストレス発散の捌け口になれば良いと思う。ただ、注意として課金だけは気をつけるようにと大事な事だから2回言った。
国王陛下らの携帯電話を無償で提供した。ただし、それ以降は売り付ける。ノートパソコンや携帯電話の追加注文だったりと、ウハウハだ。
地球でも新作だと高いが、型落ちならいくらか安い。それを良心的に高く売り付ける。元の販売価格なんて知る由もないのだから。




