SS12-7、盾の勇者=教祖〜反射鏡Ⅳ〜
「これで残りは二人?で良いのかしら?」
「「ショウ!」」
吹き飛ばされたショウキは、気を失ったのか?身動き一つしていない。
「生きてるから大丈夫。それよりも殺りましょう」
「この化け物が。てめぇのせいで家族はバラバラになったんだ」
「どの事を言ってるのか、お姉さん分からないし、同じ勇者なのに化け物は酷いなぁ」
多過ぎて教祖カノンは本当に分からないのだ。地球での教祖カノンの被害者総数は、軽く見積もっても数千人は行く。
判明してない事件も入れるとなると数億人は行くだろうと統計も取れてる。
「サクラ行くぞ」
「ショウのカタキ」
「うふふふっ、二人同時で良いわよ?その方が面白いし」
「俺もいるぞ」
背後から声する方向へ振り向いたら、最初にぶっ飛ばしたケンゴが立っていた。
「あら?ケンちゃん、フラフラだけど大丈夫?」
「うるせぇ、龍人族を舐めるなよ」
バンバン
「不意打ちなら兎も角、そんな弾では当たらないわよ?」
「それは分かっているさ」
10発程撃ったが全て避けられてしまう。だが、避けられてしまうのは計算の内。
ドンッドンッ
教祖カノンのこめかみに何かが当たり数m吹き飛び倒れ込んだ。
「やった。やってやったぞ」
ドキドキ、起きて来ないでくれよ。
「痛ぁ!これは狙撃?」
「チッ…………硬いな」
クソッ!仕留め切れなかった。盾の勇者なだけはあり防御が格段に他の勇者よりも上だ。
教祖カノンに何が当たったのかというと、ハズレたはずの弾が教祖カノンの頭に命中したのだ。
だが、貫通はせずに鈍器で殴られたような跡と血がジンワリと滲み出てるだけであった。
「ケンちゃんがやったの?」
「そうだと言ったら?」
今のケンゴの心境は、『やべぇ、やっちまったぁぁぁぁ』という普段と正反対に怯えまくっていた。
カズトと幼馴染みであるケンゴは、それと同時に教祖カノンとも幼馴染みであった。
そのため、教祖カノンに格闘技の練習台としてカズトと共にモルモットにされていた過去がある。
その事がトラウマ化となっており、心臓の音がドキドキバクンバクンと五月蝿く鳴り響いてる。
(落ち着け落ち着け俺。俺は強くなったんだ。昔の俺ではない)
でも、ヤバいヤバい怖い。だが、俺も勇者として負ける訳には行かない。大丈夫だ大丈夫だ、昔のトラウマを忘れろ。
「動くな!」
「ねぇ、さっきのもう1回やってよ?」
「チッ………動くなと言ってるだろ」
バンバン…………ドンッドンッ
「避けたはずなのに当たった。追尾機能がある弾なのかな?」
正解だ。
【追尾弾】は、ハズレたと見せ掛けて敵を追う特殊な弾だ。銃弾を避けられる人は大抵相手の視線や銃口、筋肉の動き等を見て銃線を予測する。
だが、1回銃から離れた弾にはそれが出来ない。だから、いくら勇者でも避けられない理屈だ。
「うん、大体分かった」
「分かったって何をだ?」
「タネが割れれば攻略も簡単」
避けた弾が、こめかみに当たるが、そこをピンポイントにシールドを張り防いだ。
「当たるところが同じなら防ぐのも簡単」
当たる箇所だけを守って入れば良いのだから。ただし、それをやるには相当な精神力や集中力が必要になってくる。
「くっ!歩く要塞か」
「酷いなぁ。こんな可愛い女の子に不細工な二つ名を言ったらダメなのよ。ほい、返すよ【反射鏡Ⅱ】」
「ふんぬ」
最初の一発目よりエネルギーを貯めたのだが、ケンゴは倒れた様子がない。どうやら、一部龍化して防いだようだ。
「そっちこそ、タネが割れた攻撃が効くとでも?」
「あはっ、そうでないと面白くないよね【反転:腕力】30%」
ドゴン
「なっ!」
「こんなものか」
よっし、やれてる。俺はやれてるぞ。ショウキが吹き飛ば気絶させた一撃を余裕で防御した。
「おらぁ」
「長引くとヤバいね」
龍化した腕で殴られるが聖盾ムーンローアで防御。しかし、殴られた衝撃までは防ぎ切れずに内面にダメージを受けてしまう。
「ケンゴ良くやったぁ。おらおら」
「チッ…………面倒臭いなぁ。今、ケンちゃんを楽しんでるんだから邪魔しないでよね【反射鏡Ⅳ】」
「なに?!」
【反射鏡】の中でも最強と言われるⅣ。攻撃してきた相手を、もう1人鏡と化した盾から出現させる。
自分自身と戦うなんて、これ以上の妨害は中々見当たらないだろう。




