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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
4章マーリン戦争

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221食目、剣vs《隠者》

「待てぇ」


 俺は今、くノ一女を追っている。逃げる方向にルリ姉がいる。それに魔神の左手を持ってるのもくノ一女だ。


「全く使えない連中ね。アタシを追って来て大丈夫?何やら向こうは大変な事になっているみたいだけど」

「あいつらなら大丈夫さ。それよりもルリ姉を返せ」


 鎖に繋がれたルリ姉は、なんとも痛々しい傷跡が身体中に走り、不快感とルリ姉を痛め付けた相手に対して憎悪感がフツフツと煮え滾って来る。


「カズちゃん…………どうして来たの?」

「ルリ姉、助けに来た。それ以外の理由いるか?」

「もう昔から優しいんだから」

「はいはい、感動の再開みたいなのはウンザリするのよね」


 吐きそうな程イヤだったのか、くノ一女が吐くフリをする。良く見るとルリ姉を拘束してる手枷は黒くて見ただけでは材質や形状が良く分からない。分かるのは、地面から生えてるような所だけ。


「おっとぉ、それ以上近付かない事ね。杖の勇者が、どうなっても知らないわよ」

「うっ…………」


 黒い手枷から刃みたいな物が伸びルリ姉の首筋に当たる寸前で止まる。これでは、下手に動けない。


「ルリ姉を離せぇぇ」

「嫌よ。こういうのが一番あんたら勇者にも効くって知ってるんだから。それに計画に変更あったのよね」


 計画の変更?そんなの知るものか!


「最初は、魔神様の左手を盗む予定だけだったんだけどねぇ」


 焦らすように言い淀む。そして、自分の影を足場にしてルリ姉に近付き、まるで恋人のように顎をクイッと持ち上げたり頬をペタペタと触ったりと好き放題。


「イヤ、止めて」

「良いじゃない。アタシ達の仲間になるんだから。仲良くしましょう」

「どういう事だ?」

「これが変更された計画。杖の勇者もお持ち帰るのよ」


 何だと?!なら、益々ここで取り逃がしたらヤバい。どうにかしてルリ姉と引き剥がす。持ち帰るという事は、傷つけたくはない事だろう。


「あら?戦う気?」

「あぁ、ルリ姉を取り戻すため戦うしかない」


 聖剣エクスカリバーを抜いて剣先をくノ一女に向ける。最早、ルリ姉は人質とはなくなった。これは、ルリ姉強奪バトルなのだ。


「チッ…………気が付きやがったか」


 こっちが杖の勇者を傷つけられない事を。もしも、傷つけた暁には、アタシが殺される。むしろ、生きた人形とされるかもしれない。


「カズちゃん、私を倒したのは」

「おっと、それ以上は喋るなよ」

「むぅむぅ」


 地面から伸びてるルリ姉も拘束してる手枷から黒い帯状なものがルリ姉の口元を押さえる。


「もしかして、お前の技術スキルか?」

「そっ。アタシは《隠者ハーミット》を授かってから影の技術スキルを使えるようになったの。意外と便利よ。色々応用が効くしね」


 影を自在に操る技術スキルか。それは厄介だ。攻防一体で、捕縛や隠密にも有効だろう。極めつけは、おそらく転移みたいな事も出来る点にある。

 だが、今それをしないのは、まだ何かやる事があるのか?それとも、この度の戦いで力を使い果たし発動出来ないだけなのか?どちらにしろ、ルリ姉を奪い返し魔神の左手を破壊するのみ。


「さてと、戦うには杖の勇者は邪魔ね」

「むぅーむぅー」

「おい、ルリ姉を何処へやる積りだ?!」

「安心してちょうだい。アタシの影へ仕舞うだけだから」


 生きてる者まで入れられるのか。アイテムボックスの上位互換みたいな技術スキルだ。


「その方が、杖の勇者に流れ弾が当たらなくて済むというものよ。アナタも安心でしょ?剣の勇者」

「それはご親切なことで」


 不利な事には変わりはない。相手は逃げる準備が整い次第、何時でもトンズラする事が出来るということ。

 時間設定はないが時間制限はある嫌な展開だ。その時間が来るまでに決着を着けるしかない。


「なら、遠慮なくやろうか。雷の聖剣タテミカヅチ裏技術ブラックスキル黒狼雷牙こくろうらいが】」

「黒い雷?!」


 黒い雷が、剣の勇者周囲に纏わりつき、それに剣が二振りに?いや、片方は黒い雷が剣の形に模してる。それぞれの属性の技術スキルを完璧に修得・使い熟さない限り裏技術ブラックスキルは発現しない。

 シリーズ系を除いて、特に厄介とされるのが雷の属性だと言われてる。純粋な速度スピードとパワーで他を圧倒する。小細工なんて通用しない。


「ボーッとしてて良いのか?」

「なっ?!速っ!」


 相手が《隠者ハーミット》でなければ、これで勝負は決まっていた。

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