217食目、合流
シロにパフェを満足するまでご馳走すると、時間は過ぎてないが、やっと戻って来れた。
辺りを見ると《戦車》と戦った場所のようだ。少し軽く身体を動かして見るが、疲労やダメージは感じられない。
「流石は、あれでも女神だな」
さてと、みんなはどうじてるか気になるところ。どうにかして、みんなと合流をしたい。
「おーい、カズトせんぱぁぁぁぁい」
「パイせぇぇぇぇん」
「あれは、ショウとサクラか?」
ブンブンと腕を振りながら、こちらに駆けて来る二人がいる。魔神教会の幹部と戦っていたはずなのに元気な二人を見ると、こっちまで元気なってくる。
「パイセン無事ですか?」
「あぁどうにかな。二人が無事で良かった」
「オレが殺られる訳ないだろ」
「でも、食べられた時には焦ったんじゃない?」
「それを言うな!」
「食べられたって何?!」
大雑把にどんな敵と戦ったのか聞いた。俺よりも二人の方が激戦だったと思う。
「いやいや、パイセンの方がヤバいですって」
「【武器庫】ってアレだろ?国1つを滅ぼす事が出来るっていう技術」
一度に展開されれば、そりゃぁ厄介だろう。だが、《戦車》の戦い方は、次から次へと武器を取り出し自分で戦うスタイル。
本来の【武器庫】の戦い方とは根本的に違う。でも、あれは強かった。願うならもう戦いたくない相手だ。
「それよりも、みんなと合流をしたいと思う」
「アタシもそれで良いよ」
「まだ残党が残っているっすけど」
死亡や退散しても召喚したものは消えたりしない。地球の戦争でいうところの地雷や不発弾みたいなものだ。
みんなと合流するには、後始末をしながらでないと厳しい。だが、油断禁物だが雑魚な分楽勝だ。
「たくよ、まだこんなに残っているのか」
「召喚主が消えたせいで、統率が乱れ一気に出て来たという事だろうな」
「面倒臭いわね」
まぁこの面子なら問題なく片付けられる。うん、シロが全快させてくれたから調子が良い。
「とぉりゃぁ」
「はぁぁぁぁ」
流石はショウとサクラだ。二人は物心付く頃からの幼馴染みと聞いている。連携が、まるでシンクロしてるかのように次から次へと敵を倒していく。
「カズトさん」
「そこにいるのは、サンドラか。それに、その大きな犬は?」
「これは、ワタクシが召喚した地獄の番犬のケルちゃんです」
『バウ』
3つ顔があるし、地獄の番犬だとは思っていたけど、予想より怖くない。むしろ、モフモフそうで顔を埋めたい。
「鎖の勇者か」
「そ、そのワンちゃん可愛い」
「むふん、ケルちゃんは可愛くて強いの。触ってみる?」
「「いいの?!」」
うわぁ、毛並みが柔らかくてモフモフしてる。1日中、モフモフに顔を埋めていられる自信がある。
「おい、急がなくて良いのか?」
「「はっ!」」
「そうだ、みんなと合流しないと」
『バウワウ』
「あっちに勇者の匂いがするってケルちゃんが言ってる」
「うん、何となくだけど」
羨ましい。こんな可愛い魔物となら意思疎通をしてみたい。
「雑魚なら任せて。ケルちゃんなら一捻りだから」
『ワォォォォン』
ケルちゃんが甲高い遠吠えをした瞬間、こちらに迫っていた魔物の大群が一気に身体が霧散した。
まだ残ってる魔物はいるが、目に見える範囲で8割方ケルちゃんが倒してしまった。
「ケルちゃん凄い」
『バウ』
サンドラに褒められて嬉しそうなケルちゃん。頭を下げて撫でられている。ヤバい、可愛い。
可愛い裏腹に魔物が酷い。霧散したから地面が血の池と化してる。酷い臭いだ。
『バウワウ』
「ケルちゃんが、みんなを乗せてくれるって」
「「のるぅぅぅぅぅぅ」」
うわぁ、モフモフで最高。それに馬より速いし、ケルちゃんの技術なのか?風を感じられない。
『バウ』
「ケルちゃんが勇者を見つけたって」
ケルちゃんが、クンクンと嗅いだ先に3人の影が確認出来る。
「タケにアシュリー、健吾!」
「その声はカズトか!」
「カズト先輩」
「そのぉ、可愛いワンちゃんはなんですか?」
残りは杖と本の勇者二人と王様ら王族の皆様だけだ。王様らはコロシアムから出ない限り安全だろう。
「お前らも早く乗れ。急ぐぞ」




