213食目、斧&槌vs《教皇》再びその2
『これでお仕舞いだぁ【肉塊玉】』
「なっ!間に合わない」
幾重の肉塊で出来た壁に囲われたサクラ。巨人族の腕力を加えてもビクともしない。
まるで鋼で出来てるような金属音。打撃では相性が悪過ぎる。
『これでお仕舞いだ。その中にいる限り血肉を溶かし吸い取る、まさに我の胃袋と同じ。さて、もう1人にトドメを』
ショウを探すが、先程までいたところにいない。意気がってほざいていた割には動けずいたから無視したいた。
『あんな身体で動けるはずが』
少し観察してるだけで分かった。斧の勇者は、先の戦いで相当な痛手を負ってると。
動ける事事態が不思議な程にズタボロだったはずだ。いったい何処に行ったのだ?
「風の聖斧ヴァイキング【風林火山:疾きこと風の如く】」
『なっ?!』
いつの間に後ろに!
「ぶっ飛べぇぇぇぇ」
『ぶっふぉふぁ』
魔物と化してる《教皇》が振り向くと同時に物凄い風圧で吹き飛ばされた。
『何が起こった?!』
頭では理解している。斧の勇者によって吹き飛ばされたのだ。だが、薬を投与する前ならいざ知らず、今は様々な魔物のDNAを元に作った薬で5mは越す魔物になっている。
台風や竜巻でも吹き飛ばされない程の重量になってるはずだ。それがいとも簡単に吹き飛ばされた。
『有り得ん。有り得ん』
「何が有り得ないのだ?」
なっ?!いつのまに!吹き飛ばされた地点から、ここまで何の位離れてると思っているのだ。
目測換算で、凡そ数百mは離れている。それを一瞬で詰めた事になる。
「そらよっと」
ボコッバキバキ
聖斧で斬りつける訳ではなく、素手で殴って来た。《教皇》の肉体に減り込み、口元や目元から血が吹き出る。
『ゲホッゲホッ、な、何だ!この腕力は!』
「炎の聖斧ヘルメス【風林火山:侵略すること火の如し】だ。攻撃のみに重点を置いた技術。手加減は出来ないからな。あらっよっと」
刃に炎を纏わせ、力強く振り上げ下ろす。タダそれだけなのに数mある大剣を巨人族や龍人族が振るったように地面に亀裂とクレーターが出来ている。
『何だ!これは?!』
避けなかったら本当の意味で肉塊へ変わっていた。
「ハズレたか。遅いのが難点なんだよなぁ」
『くそっ、お前も【肉塊玉】に閉じ込めてやる』
「サクラにやったやつか。無駄だと思うけどな」
『ほざけ』
《教皇》から無数の腕や触手が生え、ショウに向かって来る。雷の聖槌を使用してたサクラでさえ捕まった代物だ。
「水の聖斧マリア【風林火山:静かなること林の如く】」
『ど、どういう事だ!我の腕が避けて届かない』
相手からしたら不思議な経験だろう。自分の攻撃に違う意思が宿ったかのように避けてしまう。
『これならどうだ。【闇玉】』
「無駄だ」
途中まではショウの方へと向かって行くのだが、まるで結界があるかのように、あらぬ方向へと軌道が反れていく。
「無駄だと言ったのに分からないやつだな」
「お待たせ」
「遅かったな」
「だって、凄く硬かっただもん」
『あれを破ったというのか!』
囲われば脱出不可能な【肉塊玉】からどうやって脱出したのか?《教皇》は、望遠鏡みたく目を細め、【肉塊玉】をセットした地点を見ると、卵の殻みたく割れていた。
『グッ…………勇者を甘くみていたようだ』
認めよう。斧と槌の勇者は強い。明らかに、あちらの方が我の格が上だ。だが、ここで仕留めれば、あの方に褒美を貰えるに違いない。
『だが、これならどうだ?』
馬鹿一つ覚えのように腕というより触手を更に増やし、遥か上空へと打ち上げた。そして、まるで雨のように降って来る。
広範囲な攻撃でショウやサクラ二人だけなら大丈夫だろう。だが、まだ建物内に隠れてる住民達がいる。避けては建物と共に住民達に被害が拡大する。
「チッ、セコい攻め方しやがって」
「これじゃぁ、全部は守れ切れないわよ!」
「任せろ。土の聖斧アース【風林火山:動かざること山の如し】とりゃぁぁぁぁ、守ってみせるぜ」
土の聖斧アースを地面に突き立てると、空が夜に近い暗さへと時間が経つに連れなってくる。




