表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
4章マーリン戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

410/551

209食目、斧vs斧その8

 赤の聖斧ルージュは、中々に厄介だ。おそらく聖武器でなければ、触れる事も防ぐ事も出来ずに溶けてしまう。

 もし、防ぐ事が出来ても溶岩の温度により体内から水分を根こそぎ奪われかねない。

 それに聖武器以外は溶けてしまうという事は、体に触れると即効致命傷になりかねない。

 そこで、こっちは水と氷。低体温症になるかもしれないが、そう直ぐに起こる訳ではない。つまり、不利という訳だ。だけど、あの技術スキルさえ発動まで漕ぎ着ければ一発逆転ではないが、必ず勝てる。


「ハァハァ、熱い」


 溶岩と氷の激突により、二人の周辺は水蒸気で満ち、まるでサウナ状態となっている。


「なんだか体が軽くなった気がするのよ」


 胡桃の方は溶岩を操ってるからか?熱さに滅法強くなってるようで、それに熱さが増すに連れステータスが上昇してるような気がするのは俺だけか?


「クッハハハ、これで負ける気がしないよ【火蜥蜴斬サラマンダーアックス】」


 胡桃が持つルージュが巨大化した。【空割り】よりは大きくないが、その代わりに離れていても熱風が感じる。


「クッ、初手で潰す【青空巨人の腕(スカイ・ギガ・ブロー)】」


 胡桃の両脇の空間が歪み、半透明な巨腕が出現。胡桃に向かって押し潰そうと伸びる。


「フフッ、甘いのよ」


 軽く左右に【火蜥蜴斬サラマンダーアックス】を振ると熱風が吹き荒れ、それだけで【青空巨人の腕(スカイ・ギガ・ブロー)】の巨腕が蒸発した。

 揶揄でも何でもない。軽く押し潰せる程に巨大な腕は跡形もなく氷が蒸気になる昇華するように消えた。


「チッ、カラーズの中で攻撃トップクラスのだけはある」


 このまま続けても大丈夫なのだろうか?


 いくら【青空世界スカイワールド】が広大なフィールドでもシリーズ系統であるカラー同士の激突が続けば、はっきり言って保てるか怪しいところ。

 そうなると、世界の脱出方法のもう一つの条件をクリアしてしまう。その時点でシュウの負けは確定する。

 だが、このまま外に行けば被害は確実に広がってしまう。ここで胡桃を倒して止めるしか道はない。


「とりゃぁぁぁ、早くショウを倒して、ここから出るんだから」

「なっ、速っ」 


火蜥蜴斬サラマンダーアックス】状態のルージュをジェットエンジンみたく推進力を得て、下手したら風の時よりも俊敏性が上がってる。


 ガキン


「あ、危ねぇ」


 瞬時にナギを数倍大きくさせ、氷を纏わせた【冷凍斬フリーザックス】を展開してなければ、腕を持っていかれていた。


「良く防いだわね」

「くっ」


 交差したまま踏ん張るショウ。ナギは破壊不能だが、技術スキルで出した氷は別だ。

 徐々に氷は溶け蒸発し、技術スキル解除に至るところまでナギの大きさが元に戻りつつある。


「いい加減に…………しろ【氷柱花】」


 ドカッ


 水蒸気を集め逆に昇華させ、胡桃の腹ど真ん中にゼロ距離で氷の塊を当ててやった。


「ゲホッ」


 直ぐに【氷柱花】は溶けて仕舞ったが、衝撃は与える事は出来、少しは後退させる事は出来た。


「やりますね。痛かったです」

「チッ、ウソをつけ。無傷のクセに良く言う」


 刺さったとような感触はあったが、血の一滴も垂れていない。ゼロ距離で当てたのだから、少し位は効いていて欲しいところなのだが、ちっとも効いてる様子がない。


(さてとどうするかな?)


 まだ、確実に倒せるという技術スキル発動まで時間が掛かりそうだ。

 時間を稼ぐにしても、あの溶岩からは何時までも逃げ切れるものではない。予想以上の瞬発力にあの攻撃力は、最早反則と言わざるえない。


(ここは逃げの一手か【雲隠れ】)


 大量の雲を発生させ、その中に隠れながら逃げ続ける事にした。あの馬鹿力を前に真正面から戦うなんて戦術的には有り得ない。


「逃げるのか?それでも男なの?」

(何度でも言え。勝てば、こっちのもんだ)


 それに、この雲はタダの雲ではない。相手にだけ障害物になる雲で、水のような抵抗力を感じ速度スピードを鈍らせる。

 本来ならショウも勇者だからプライドで逃げの一手を使いたくなかった。だが、相手は絶対に倒すべき敵である以上、どんな手を使ってでもここで倒す。


「何なの、これは?雲が纏わりついて上手く動けない?」


 溶岩で蒸発させても無駄だ。地上とは違い、ここは常に上空と同じ環境である。直ぐに冷え、直ぐに雲を形成する。

 つまりは、脱出不可能な迷路と同じ。このまま窒息を狙っても良いが、その前に蒸発され窒息までもっていけない。だから、俺は最後の一撃を決めるために隠れ逃げ続けるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ