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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
4章マーリン戦争

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206食目、斧vs斧その5

「ここは上下左右の概念がない。胡桃は出来てるが、一回落ちれば何処までも落ちて行く」


 俺も最初の内は、フワフワと浮く感覚に馴れずに苦労した。地面を走るのとは訳が違う。

 それに比べて胡桃は元勇者なだけはある。本来なら初見で浮く事すらままならないはずだ。


「さて、再開しようか?」

「えぇ、そうね」


 ガキンガキン


青空世界スカイワールド】に広がる青空の中で鈍い金属音だけが数十分鳴り響いている。

 本来なら技術スキルを放ちショウを倒して、ここから脱出したい胡桃だが、技術スキルを上手く放てなくなっていた。

 そう、これが【青空世界スカイワールド】の効果。タダ広いだけではない。

 魔法や技術スキルに使用する魔力を霧散させてしまう。もし、技術スキルや魔法を使いたいなら霧散するよりも多くの魔力を練り上げ使う必要がある。

 大量の魔物モンスターによる魔力がある胡桃なら難なく使えそうだが、ここには地面がない。つまり、飛行するための魔力が常に使用し続けてると同義だ。


「動きが鈍ってきてるぜ」

「まだまだ、こんなものではないわよ」


 馴れてない空中戦で苦戦は必須。

 今まで地面という平面で、2次的な戦い方しかしてこなかったのだ。空という立体的で、3次的な戦い方が直ぐに出来るはずがない。

 それに技術スキルが、ほぼ封印されてる状態ではジリ貧は確実。ここはショウが作った世界なのだから。


「くっ…………まだまだぁ」


 胡桃は何となく空中戦のコツが掴めて来たというより、【青空世界スカイワールド】での戦い方をだ。

 実際に空を飛ぶというより、大気を足裏で掴むようなイメージ。地面と変わらずに駆けるような感じを、360°で行う。そうすれば、吹き飛ばされずに済む。


「そろそろここにも馴れて来た頃だな。なら、これを避けられるはずだぜ【空割り】」


 シュウが青の聖斧ナギを何もない宙へ振り下ろした。そうすると、何処から兎も角甲高いジェット機みたいな音が鳴り響く。


「さぁ上手く避けろよぉ。これは俺にも上手く制御出来ないからな」


 音をする方向は、胡桃から見て上空からしてくる。上を見てみると、何かが落下…………いや、この場合は向かって来ると言った方が正しいか。

 完璧に目視出来るところまで、それが近寄って来るとどれ位だろうか?超絶巨大な斧が向かって来てる。


「そんな大振りな技術スキルを使うなんて。避けるスキを与えるだけじゃない」

(それはどうかな?)


 まだ二人のいる場所まで、超絶巨大斧の距離はあると見える。だが、それが落下しているとどうだろう?

 落下速度が早くなっていき、回避出来ない程の速度まで達する事になる。

 そして、速度がとある速さまで達すると空間が歪んだ。その影響により超絶巨大斧へ引力が発生してしまい、逃げるたは裏腹に胡桃が引っ張られる。


「な、なによ?!これぇぇぇぇ」


 近寄って来る超絶巨大斧に吸い寄せられ、もう勇者の膂力を持ってしても回避出来る事は出来ない。


「くっ………こうなったらやってやるわよ」


 胡桃の目付きと雰囲気が変わった。あの雰囲気の変わりようには、ショウに心当たりがある。他の勇者はどうか知らないが、自分が奥義を発動するときと似ている。


「風の聖斧エンリル奥義【威風堂々《エンリル》】砕け散りなさい」


 ショウの【空割り】で出現した超絶巨大斧と【威風堂々《エンリル》】を発動中の胡桃が激突した。

 サイズの比較なら1:50で、圧倒的に【空割り】の超絶巨大斧の方がデカい。普通なら物量で押し潰されるのがオチだと思う。

 だが、現実は違った。


「いけぇぇぇぇぇ」


 ビキビキ


 二つの斧が交差すると、大気が震える程に衝撃波が辺り一面に轟き物量で圧倒的であるはずの【空割り】の超絶巨大斧がミシミシとヒビが入り崩れさっていく。


「ふぅー、次は君の番よ」

「…………甘くみていたかもしれないな。受けてたとう」


 胡桃の様子を見るに、まだ【威風堂々《エンリル》】を解除していない。

【威風堂々《エンリル》】は攻撃系の奥義ではない。風を超高密度に圧縮し、それを自分自身に纏い全身を刃物と化す効果を付与する。

 近付くものは全て木っ端微塵と化すエンリルの奥義。持続時間も長く一回だけの斬撃では終わらない。

ただし、効果範囲は胡桃から50cmもない超近距離。間合いを気を付けていれば大丈夫なはずだ。



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