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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
1章グフィーラ王国・古都

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ss1-2、帝国の三勇者~帝国の帰還そして、三勇者は帝国を去る~

『三勇者戻って参りました』

「ここに通せ」

 帝国では、リンカとココアとメグミの事を三勇者として市民から英雄として尊敬の念を送られている。が、それは帝国の表の顔だ。裏では、戦争での兵器として人間と思われていない。


「良く戻ってきた。して、魔王城の様子はどうであった。余に聞かせろ」

 玉座の間にある豪華に宝石を贅沢に使われてる玉座に座ってるこれもまた派手な衣装を着ている男こそ帝国ブレインズ━━━帝王ミサカド王である。

 早速三人はミサカド王の御前に跪き、包み隠さず魔王城の現状をご報告する。


「ふむ、そうか。魔王城は完膚無きまでに崩壊しとったか。ごくろうである。下がってよいぞ」

 三人は不敬にならないようミサカド王が労いの言葉を言い、控えてる兵士が扉を開けるまでは、顔をあげられない。扉を開けたら初めて立つ事を許され、立ち去る事が出来る。


「ふぅ、まったくいつもの事ながら御前の前では疲れるぜ」

「メグミ、ここではそういうのは控えてください。何時何処に監視の目があるのか分からないのですから」


 三人が玉座の間を立ち去ってから、まだ帝国城の中にいた。というか、この城はとにかく広いのだ。王の威厳を保つため、兎に角広く大きく作られたと言われている。

 玉座の間から城外に出るには、どんなに急いでも最低で30分は掛かる。

 それに、この城には特殊部隊が専属している。特殊諜報暗殺部隊:烏………王の命によりどんな汚れ仕事でもやる一般市民には知られていない部隊なのだ。

 その存在を知ってるのは、王・その側近のみなのだが、元魔王城に出かける前に偶然で三勇者も知る事になった。もし、知らなかったらその足でグフィーラ王国に行っていた。


「メグミは考えずに発言するから困ったものです。今のところ気配を感じないから大丈夫なのです」

「つまり、リンカは俺の事をバカって言いたいのかな?この口が言うのか?」


 リンカの頬をメグミは掴み左右上下とびょーんびょーんと伸ばしじゃれついている。手加減してるせいか全然痛くはないけど、正直ウザイと思ってる。


「私はライブがありますので、これで失礼」

 ココアは歌の勇者なので、度々ライブを開いて地球のアイドル歌手並みに一般市民を魅力している。因みに記録結晶という魔道具があり、CDみたく音声を録音出来、これにココアの曲を録音して販売をされている。

 この世界には印税という言葉は存在しないが、ココアの曲が売れる事にココアの懐には印税がかっぽがっぽと転がり込んで来るのだ。



 ☆★☆★☆★


「ココアさん準備OKです。バンドの連中もスタンバイに着きました」


 リンカとメグミと別れてから数十分後、ココアは自分のライブ会場となる中央噴水広場━━━別名、ココア広場に来ていた。

 名前の由来は、ココア専用ステージが設置されており毎回ここでライブを開催しているからだ。

 広場の広さによって全員は入れないので、毎回抽選があり当選者のみ広場にて見れるシステムだ。人気な当選券チケットは相当高騰する事もあり過去に低級な貴族の家ならギリギリ買える程になったものだ。


「はい、今行きます」


 ココアが楽屋からステージ裏まで到着した頃には、ココアファンクラブから"天使の呟き"と言われてるココアコールが鳴り響いていた。


『『『『『ココアたぁぁぁぁぁん』』』』』

『『『『『愛してるぅぅぅぅぅぅ』』』』』

『『『『『結婚してくれぇぇぇぇぇぇ』』』』』

『『『『『罵ってくれぇぇぇぇぇぇぇぇ』』』』』

『『『『『踏んづけてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ』』』』』


 どさくさに紛れて変な事言ってるファンがいるようだけど、もう時間だ。ココアが登場すれば、取り敢えずこの天使の呟きは収まりがつくだろう。


「はーい、皆さんのココアだよ。今日も張り切って行くよぉぉぉぉぉ」


『『『『『おおぉぉぉぉぉぉ!ココアたぁぁぁぁぁぁん』』』』』


「~~~~~~~♪♪♪」


 ココアが歌い出したところで観客ファンは静かになった。ファンの手には、ココアが描かれたウチワやココアたんラブと背中に書いてあるハッピを着ている。

 地球でのアイドル歌手のライブと然程変わらない。世界が違えどアイドルのファンは同じだと実感出来る。


「~~~~~~~~~♪♪」


『『『『『『うぉぉぉぉぉ、それそれそれ!!』』』』』』


 最も高額な当選券チケットであるステージの目の前席に陣取る熱狂なファンはハッピとハチマキを着用し、ココアの絵柄がプリントされたペンライトを振り回し、所謂ヲタ芸を掛け声と共に披露していた。


 ☆★☆★☆★


 ココアのライブは開始してから二時間で終了し、後はココアの物販グッズ発売が残っており、それはスタッフが対応してくれる。

 ココアとライブを盛り上げたバンドメンバーは解散となり、ココアは二人と合流する事にした。


「いやぁ~、遠くから見てたけど、相変わらず盛り上がってたね」

「リンカ達には真似出来ない所業」


 二人がいる所は城以外で最も高くて周囲が墓地のため誰も近寄らない幽霊屋敷と子供達に言われてる廃教会の屋根の上だ。


「二人とも、やはりここに居ましたか。毎度毎度言いますが、集合場所は他にないのですか?」


 ライブが終わり急いで駆け付けたココアが二人に愚痴を言う。若い女子三人が待ち合い場所に設定するには、明らかにオカシイ場所だ。


「良いじゃねぇか。誰も近寄らないし、まさか烏もこことは思わないしな」

「これ程適した場所が他にない」


 二人の意見は尤もでココアはぐうの音も出ない。二人が言う通り、予想外な場所だからこそ今日の計画がバレずに来れたのも事実だ。

 帝国中のあらゆる建物には、烏の監視がついており今のように密会してれば、たちまち帝王の耳に入る事になっていた。


「はぁ、分かりました。では、さっさとやっちゃいますね」

「おぅ、頼む。これ程、大規模な技術スキルを使えるヤツはそうそういないしな」


 ココアが使う技術スキルのため、今まで秘密裏に計画を決行してきたのだ。でもまぁ、ココアが一番の功労者で残りの二人は多少手伝ったに過ぎない。


「では、いきます。聖優イクリプス…………技術スキル幻想の歌(ファンタズマ)】発動」


 廃教会の屋根からココアの歌声が帝国中に響き渡り、帝国中の市民に加え城にいる帝王や城に働く者全員、ココアの歌声に聞き惚れている。

 この大規模技術は、長年の期間ココアの歌声を聞かせる事が条件である。条件が厳しいと思われるが、ライブに加え記録結晶により帝国全域にココアの声は染み付いてしまっている。



「さぁ、終わりました。今から十年位は大丈夫でしょう。私達の幻想に取り付かれたまま、死んでいきなさい」


 帝国は死にはしないが、ずっと三勇者が帝国にいると帝国全国民が思い込まされている。これによって三勇者が帝国を去っても誰も気づかない。



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