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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
4章マーリン戦争

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182食目、《吊るされた男》vs青龍隊隊長その3

「カゼタチ行くぞ。これが本当のカゼタチの姿だ」


 ビィトの声に呼応するかのように周囲に風が渦巻き他の者を寄せ付けないよう風の壁を形成していた。

 ビィトが握る柄からは視認し難いが風で形成された刀身が見て取れる。


「しゃらくせぇぇぇぇぇ。こんな風がなんだ。ただ激しく吹いてるだけじゃねぇか。これで決めてやるぜ【カラクリ武装:超大型砲台バズーカ】」


 リザの左腕全体が金属の筒へと変化した。発射するリザ自身も吹き飛ばされないよう筒の脇から脚が飛び出し地面に固定する。


「吹き飛べぇぇぇぇぇ」


 耳を塞ぎたくなる程の轟音を鳴り響かせ金属の筒から目では捉え切れない程の速度スピードで顔面程の大きい弾を打ち出した。

 その反動でリザが立っている地面がヒビ割れ、金属の筒から出てる脚で固定していなかったら吹き飛んでいた。


「甘いな。カミカゼ【風龍の爪】だ」


 風の壁からニョキっと枝らしき物体が生え、その枝先から上二本、下一本に分かれるとリザが打った弾を掴んだ。


「カミカゼ投げ返せ」


 ビィトの指示通りに【風龍の爪】がリザに弾を投げ返した。それもリザが発射した時よりも数段速度が増したように見える。


「くっ、朽ちた人形共よ。オレの盾となりやがれ」


 人形だった破片が集合し、リザを護るよう壁を作った。ただし、リザが操ってるのか?今だに壊れても人形に意思があるのかは分からない。


「良く防いだものだ」

「くっ、良くもオレ様を膝ま付かせたなぁぁぁぁぁぁ」


 人形の破片で形成された壁で弾を防げても衝撃までは完璧に防げられなかった。

 数mリザは吹き飛ばされ、地面に這いつくばっている。リザにとって今までこんな屈辱を受けた事はない。

 だから、この瞬間、リザに明確な殺意がビィトに向けられた。


「お遊びは終わりだ」

「…………!!」


 リザの威圧感に一瞬怯む。これまでにこんな濃厚で暗い殺意を向けられたのはビィトでも初めてだ。

 どんな気性が荒い魔物モンスターや盗賊らでも発する事は出来ない程に濃い。

 ここにいるだけで息苦しい。肌にチクチクと刺さって来る。ビィトの直感はやはり当たっていた。こんな殺意を発せられる奴を見逃す事は出来ない。危険過ぎる。


「属性の相性は知ってるか?」

「バカにしてるのか?それくらい知ってる」

「なら、風ならやはり炎だよなぁ。燃やし尽くせ【カラクリ武装:火炎放射】」


 風属性は炎属性に弱い。炎に風を送ると余計に炎が燃え上がる。だから、風属性は炎属性に弱い。


 リザの左腕が金属の筒から先端が細長く、左腕上腕骨の周囲に等間隔で空気穴が開いてる近未来的な腕へと変化した。

 先端から炎が勢い良く噴き出した。炎属性魔法の強ランクはあるであろう威力はある。弱点である属性で勝つには、三ランク上の魔法なり技術スキルを放つしかないとされている。

 強ランクの上だと極と神ランクしかない。理論的には無理だ。だが、工夫次第では覆る可能性をある。


「どこまで持つかなぁ。キャハハハハハ」


 風の障壁を覆うように炎が風に沿って拡散している。一見、炎の海と化し中にいるビィトは無事で済まないだろうとリザは確信してる。

 もし炎に包まれていなくとも熱で徐々に体力を奪い、空気も薄くなっていき最終的には呼吸が出来なくなくなる。


「ふぅ、だから甘いと言ってるんだ」

「なにぃぃぃぃぃぃ!」


 炎の海が奇怪な動きを見せた。まるで炎が糸で吊られ操られてるように形作り、その形は龍へと変貌を遂げた。


「何でオレの炎が?!」


 炎の龍の隣にビィトが立っている。それすなわち、今現在の炎の支配権はビィトにある事になる。


「弱点も使い様という事だ。風により炎を操ってる」

「そんなバカな事があってたまるか!オレは、魔神教会No12《吊るされた男(ハングドマン)》のリザ・テミス様だぞ。他の奴に操られてたまるか!」


 そう言っても現実に炎はビィトの支配下にある。

 この世界では、炎は風が大好物だとされ、熟練な風使いならば、弱点であるはずの炎に餌として風を与え使役する事は困難だが可能だ。

 それを風龍剣カゼタチにより底上げをし、炎を使役した。ビィトも初めて炎の使役を行ったが、上手くいった訳だ。


「これでお仕舞いだ。【風炎龍の吐息(ファイヤートルネード)】」

「このまま殺られてたまるか!【カラクリ武装:電撃光線レーザービーム】」


 炎の電撃が衝突し、お互いに押して圧され拮抗している。これが最後の攻撃だと思われるが、どちらが勝利を納めるのかは神のみぞ知る事だ。

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