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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
4章マーリン戦争

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SS10-5、ジョルの仕事〜幸運の弱点〜

「他の者のの【隷属の首輪】を外しに行くと良い。ここに連れて行け。オレの部下がいるはずだ」


 アゲハ隊は既に牢屋に繋がれていた獣人を運び出しており、もうブローレ商会にはいない。


「感謝する。では、後ほど」


 さてと、後はブローレ商会本店であるこの建物を一夜で壊す……………イヤ、消滅させる。

 それを可能にするのは、やはり【幸運全吸収ラッキーフルチャージ】だ。

 無機質からも幸運を吸収出来る。いや、出来てしまう。オレも出来るなんて知らなかった。


「さてと、準備をするか」


 《愚者ザ・フール》から教わるまではやれるとは思いもしなかったが、一回教わると絶対に出来ると確信が持ててさまう。


「どんだけ幸運が詰まってるのか?【幸運全吸収ラッキーフルチャージ】」


 一番近い壁に手を密着させた。ブランよりも比較にならない程に幸運が流れ込んで来る感触がビンビンと伝わって来る。流石は、

 まるで、この星全体を掴んでるような錯覚を覚える。もしもジョルと同じ技術スキルを使えた者がいたら、即座に止めないと、自分の技術スキルに押し潰され殺される。


「ぐっ……………これだけ吸ってもまだ建物にヒビが入らないとか。教祖カノン様に《運命の輪(ルーンフォーチュン)》を託されていなかったら、オレは死んでいただろうな」


 《愚者ザ・フール》に一生着いて行くと決意したが、これだけは恨みたい。死なないと頭で理解していても恐怖でしかない。

 ブランの時は、まだ人間として化け物だが生き物の許容範囲内であった。だが、ブローレ商会本店が溜めてる幸運は国3カ国分はありそうだ。


 ピキッ

「おっ!やっとヒビが入ったか」


 地震がある地域なら何処にでもあるような小さな亀裂。これが幸運を吐き出してる証拠となる。

 王都にあるどの建物よりも綺麗であった。牢屋がある地下以外は掃除せずともホコリ一欠片も溜らず維持されていた。

 これも幸運を溜めていた影響だろうと頭の片隅では分かっている。


「ふむ、もうそろそろ脱出するか」


 所々、壁や床にヒビが拡がり、今地震が起きたら崩れてしまうではないか?

 その前に、ここから脱出するために手を壁から離そうとした瞬間、予想だにしないトラブルが起きた。


「なっ!手が…………手が離れない」


 まるでドライアイスに張り付いたように手が離れない。いや、手だけではない。体が石のように硬直して動かない。

 それどろころか、いつの間にか声までも出せなくなってる。タダ意識だけはある状態。

 ブランの時は何も無かったはず…………だよな?もしかして、オレが気付いてないだけで、こんな無防備になっていたのか?!

 この間に攻撃されたら避けられるものも避けられない。まぁ戦闘中に隙を見せるバカな真似はするはずはいが。

 自分の技術スキルに、こんな弱点があるとは思いもしなかった。もしかして、《愚者ザ・フール》は弱点を認知させるために、わざと仕事を与えたのか?


(あぁ、何て優しい方なんだろうか)


 一方その頃《愚者ザ・フール》は、《世界ザ・ワールド》と一緒に教祖カノンの護衛として側に仕えていた。


「はっ………はっ…………クッション」

「《愚者ザ・フール》、風邪引いたのですか?移さないでくださいね」

「きっと儂の事をウワサしてるのだろう」


 自分の事を話してるのは、まさかジョルだとは知る術はない。良い加減うんざりとしていたブランの始末を命令した矢先、技術スキルのハイリスクといえる弱点を見つける事になるとは思いもしていない。

 《愚者ザ・フール》が教えたのは、全幸運を全部吸収されると消滅する件と無機物の幸運も吸収出来るという件だけ。


「んっ、あーあー話せるようになった」


 どのくらい時間が経ったのだろうか?近くにある窓ガラスから見ると、まだ朝日は登ってない。外は真っ暗だ。

 壁紙から手も離れた。それと同時に幸運の供給もストップした。いや、良く見ると幸運の容量がからになっている。

 全く、ブローレ商会本店から幸運が感知出来なくなっている。つまり、今直ぐに脱出しないと崩れてしまう。


 ピキッピキピキ

「本当にオレはバカですね。少し考えれば分かるものの」


 壁だけではなく、足元の床までも割れ始めヒビが拡がっていく。ジョルは後悔した。外の壁で技術スキルを発動すれば良かったと。

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