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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
4章マーリン戦争

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SS6-13、赤薔薇隊隊長ライラのスローライフ〜オセロ対決〜

 温泉に浸かり仕事の疲れも取れた。そろそろ上がろうかと腰を上げようとした時。


「シャル、そろそろ出るか」

「はい、姫様」

「アリス、私も出ます」


 ちょうどアリスも出ようとしていた。それに合わせる形で湯船から身体を勢い良く這い出る。


「着替える前に風呂上がりの瓶牛乳を飲もう」

「妾はイチゴ牛乳」

「私はフルーツ牛乳にします」


 三人とも腰に手を当て一気にゴクゴクと瓶に入ってる牛乳を飲み干した。


「ぷはぁー、このために生きてるって感じじゃのぉ」

「何で風呂上がりの牛乳って、こんなに美味しいんだ?」

「それは一生の謎です」


 空になった瓶を専用の容器に起き着替える。元々着ていた衣服じゃなく東方の方に伝わる浴衣という布地一枚で出来てる変わった服を着る。


「これで良いのか?」

「帯の締め方が違うのぉ。シャル、締めてやれ」

「はっ!失礼致します」


 ライラの帯をシャルが締め直す。腹の真ん中で二回転回し左側にリボン結びをして出来上がりだ。

 因みに男の場合は、後ろ側にすると良い。


「さてと、もう夕方かのぉ」

「そのようです。お部屋にてお食べになられますか?」

「そうじゃのぉ?ふむ、ライラよ。お主も妾の部屋で食べると良い」

「えっ?良いのですか?」

「良い良い。それとも妾と一緒に食べるの嫌か?」

「いえ、滅相もありません」


 いくら親しい友となってもアリスは他国の王族だ。一緒に食事なんて緊張するなと言う方が無理だ。まぁそれ以前に湯船を共にして今更感が歪め無いのはある。


「シャル、お部屋に持って来るようにとお伝えして来るのじゃ」

「はっ!畏まりました」

「飯が来るまで部屋でのんびりするかのぉ」 


 一週間振りにアリスとシャルが滞在してる部屋へ訪れた。相変わらず広々とし、装飾品も王城での各王族の部屋と比べても何ら遜色ない。

 一般客が気軽に泊まれるパジェットやエコノミーと裕福な貴族層や王族が泊まれるVIPルームであるスイートと部屋もランクがある。


「どうしたのだ?ほら、そこに座れば良かろう」


 普段王城で働いていても騎士の部屋なんて高が知れている。だから、こんな豪勢な部屋だと緊張してしまう。


「し、失礼致します」


 ソファーかと錯覚してしまう程に椅子のマットが柔らかい。フカフカでお尻が沈む。


「そんなにキョロキョロしてどうした?」

「いえ、あまりに豪華な部屋なもので慣れないだけです」

「なに、直ぐに慣れる。飯が来るまで軽く遊びをしようじゃないか?」

「遊びですか?」


 アリスが部屋の片隅にある棚から一枚の板と掌に収まる箱を2箱持って来た。


「これはオセロと言ってな。二人で遊ぶものなのだ」

「やった事はありませんが、部下が休憩時間にやっていたような」

「最近流行り出した遊びらしい。ルールは簡単だ。やってみぬか」

「えぇ、お相手致しましょう」


 やった事はないが、ルールは複雑ではない話だ。今回ルールを完璧に把握して、王城にいる部下を倒す積りだ。


「妾がルールを教えてしんぜよう。真ん中に白と黒を斜めに4枚置くのじゃ」

「ふむふむ」


 パチン

「黒が先行で、挟み込むとそのコマを裏返して最後に多い方が勝ちになる。分かったかのぉ?」

「はい、理解しました」

「最初は妾が黒を貰うぞ」


 こちらは初心者というより初めてだからアリスに黒を譲った。だが、ここは真剣勝負。先手を譲ったが勝ちは譲る気はしない。

 それにアリスの事だ。手を抜いたら逆に不敬になりそうだ。だから、ここは勝ちに行くのが正解だ。


 バチンっバチンっ

「ふむ、ここに置くのじゃ」

「では、私めはここに置きます」


 ルールは簡単だが、奥が深い遊びだ。子供にも理解出来、油断すれば大人でも負けてしまうかもしれない。


「妾は、端の一角を取ったのじゃ」

「くっ」


 4つある端角は挟めないためひっくり返す事が出来ない数少ない場所だ。そこを制すれば、勝利する確率がグーーーーンと上がる。


「さっきから1つや2つしか取ってないが大丈夫にかのぉ」

「ご心配なく」


 初心者や負けやすい者の共通点は、最初から一気に多くのコマを取ろうとするクセがある事だ。

 最初は、息を潜め相手に悟らせないように置く場所をリードする。自分の意思で置いてると思わせ、実は手の平の上で踊らされていたと気付かない。


「ここに置きます」

「パ、パスなのじゃ」


 調子に乗り過ぎるとこうなる。置く場所がなくなり、パスをする事になる。こうなると、もうライラの独壇場だ。


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