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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
4章マーリン戦争

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172食目、魔神の右手

「少し離れていろ」


 隠し扉の仕掛けを解くには、繊細な魔力制御を要求される。だが、聖書:ブリーズ・アメンと《魔術師ルバトゥル》の技術スキルを用いれば簡単だ。

 リンが壁に触れると、まるで緻密な装飾が施されてるような模様が浮かび上がった。


「これで開くのか?」

「まぁ待て。ここからが大変なんだから」


 ここまでが第一段階、繊細な魔力制御で寸分違わず魔力を壁に流して隠されていた模様を浮かび上がらせた。


「ここからが時間が掛かる。一区切りになってるブロックを一つずつ動かしながら、図形や絵を完成させるんだ」


 ぞくに言うパズルだ。それもブロック数が多く人の手でプレイしていれば、どのくらい時間が掛かるのか検討もつかない。

 だが、聖書:ブリーズ・アメンの技術スキルを使えば大幅に時間を短縮出来る。


 ビリッ

「【神の頭脳(ミョルン)】発動」


 聖書:ブリーズ・アメンのページをビリッと破り、模様が浮かび上がってる壁に張り付けた。

 そうすると、自動的にブロックが動き続け正解へと導いていく。

 数分間、ガチャガチャとブロックが動き続け最後のブロックが填まるとホコリを立てながら左右に開いていく。


「よし、行きますよ」

「……………」


 あの複雑なパズルを、ほんの数分間で解いた事に《隠者ハーネット》は無言になってしまう。

 なによりも、格好良いと思ってしまった。今まで男という生き物に対してクズとか穢らわしい汚物としか見てなかった。

 《隠者ハーネット》は、妹である《戦車チャリオット》が居れば良い。《戦車チャリオット》が全てなのだ。

 だけど、初めてリンに対して今まで男共に抱いていた気持ちとは違う感情が生まれてしまった。もっとリンという男を知りたいと思ってしまっている。

 これが恋なのか尊敬なのか、まだ《隠者ハーネット》には分からない。


「ほら、着いたよ。ここだ」

「ここが?」


 《隠者ハーネット》の頭の中で一悶着してたら、いつの間にかに目的地へと着いていた。

 目の前に丸々大人の平均男性の腕が入る程の円柱の入れ物が丁寧に台に置いてある。

 良く見ると液体が充満しており、その中に腕一本が丸ごと入っている。腐ってる様子はなく、極最近切り落とされたと言われても納得出来る程に綺麗だ。


「あれが【魔神の右手】だよ」

「ゴクン、魔神様の右手」


 近寄ってみれば分かる。【魔神の右手】から夥しい魔力が発してる事に。

 これを手に入れれば、世界を牛耳る事なんて容易いと錯覚してしまう。


 バシッ

「止めて置いた方が良いよ」

「はっ!ワタシったら一体何を?!」


 リンが《隠者ハーネット》の腕を掴んでいなかったら確実に【魔神の右手】へと手を伸ばしていた。


「下手に触ると身体を乗っ取られるよ」

「《魔術師ルバトゥル》様は、平気なのですか?」

「僕も辛いよ。だけど、多少ながら耐性を持ってるからね」


 直接触ってしまったなら、いくら状態異常に強い本の勇者であるリンでも魔神に乗っ取られる可能性は十二分にある。


「《隠者ハーネット》に頼みがあるんだけど」

「はい、《魔術師ルバトゥル》様のためなら何だって致します」


 瞳がハートになってる《隠者ハーネット》に若干引き気味になるが、けして顔には出さない。


「僕は【魔神の右手】を運ぶ準備をしてるから、《隠者ハーネット》には死体を一体ここに持って来て欲しい」

「お任せ下さい」


 《隠者ハーネット》は、お辞儀をすると振り返り自分の影に、トプンと入り姿を消した。


「さてと準備に取り掛かるかな」


☆★☆★☆★


 リンと《隠者ハーネット》が宝物庫の最奥部に到達する数分間前、鎖の勇者サンドラは見つけていた。自分を実験体モルモットにし、聖鎖テンペストと融合させた張本人、《死神グリム・リッパー》を。


「やっと見つけた」


 ザシュっ

「おっと、危ないですねぇ。こんな物を投げて人に当たったら危ないですよぉ」


3階程ある建前の屋根上からサンドラは鎖付きの杭を投げたが、《死神グリム・リッパー》の横を通り過ぎ地面に突き刺さる。

 

「貴様を殺す」

「おやおや、殺すとは穏やかではないですねぇ。お嬢さんに恨まれる事をした覚えはないですがねぇ」

「また言うか!お前に実験体モルモットにされ、聖鎖テンペストを融合されたれた事を」


顎を擦りながら考える素振りを見せる《死神グリム・リッパー》は、パンっと両手を叩き思い出したようだ。


「あぁ、あの時の小娘ですか!グスッ、良く生きてくれましたねぇ。これで、またあの時の実験が続けられます。さぁ儂と一緒に来なさい」

「断る。お前は今日死ぬのだから」


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