167食目、魔法大国マーリンに侵入
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魔法大国マーリンの闘技場にて料理大会が開催されてる頃、国境付近の森の中で動く者達がいる。
「住民に成り済ました斥候の話によると、今現在闘技場で料理大会が開催されてるようなのだ」
与えられたアルカナらしく、ここは《教皇》が仕切り、今の現状を説明していく。
「料理大会?」
「何だそりゃぁ?」
「じゅる、料理」
《戦車》以外のここにいる魔神教会幹部メンバーは、《教皇》の説明に首を傾げる。
「名前の通りだ。各々で料理を作り審査員が審査する。その審査員は、あの剣の勇者だ。しかも参加選手は、全員が各国の王族令嬢なのだよ。これを聞いた時は、俺も驚いたね」
《戦車》以外は、口をアングリと開け呆然と《教皇》を見詰めてると思いきや固まってる。
「はっ、それはつまり闘技場に王族が集まってる訳だな」
いち早く《死神》が意識を取り戻し、みんなの代弁をするみたく《教皇》に聞いてみた。
「あぁ、そうだ。それに加え、各国の勇者も一ヶ所に集まっている。これ以上、襲撃するタイミングはないと思うが如何だろうかな?」
「ムフフフフ、良いじゃないですか」
「オイちゃんもそれで良いよ」
「オレも構わねぇぜ」
「ワタシも良いわよ。行くなら早くしてよね」
「お姉ちゃん、もう行くの?」
今まで眠っていた《戦車》が片目を開き、実姉である《隠者》に聞く。
「えぇ、だからワタシの影に入ってなさい」
「分かった」
《隠者》の影に《戦車》の足が触れと、まるで底無し沼や光が届かない程に深い穴に落ちるような感覚で吸い込まれた。
《隠者》の技術は、【影操作】で影を操作して異空間を作ってる訳だ。
そこに妹である《戦車》が入った訳であるが、《隠者》の影の異空間は、入った事のある者の感想では暗くはなく昼間のように明るく温かいなのだそうだ。
「それで直ぐに行くの?」
「あぁ今しかない。《隠者》は、俺らを何処かの路地裏まで運び、そこから例の物を探せ」
「了解よ。さぁ【影の隠れ家】に入ってちょうだい」
「お前ら入れ。入ったら行くぞ」
ここにいる全員が《隠者》の【影の隠れ家】に足を踏み入れた。
「ワタシも行こうかしら。【影転移】」
自分の影へ潜り込み《隠者》も森から姿が消えた。
そして数秒後、《隠者》は魔法大国マーリン内にある何処かの路地裏にいた。自分の影から路地裏の建物の影へ移動した。
誰もいない事を確認しつつ影から完璧に出ると、他の者にも出るように促す。
「ここが魔法大国マーリンか」
「さっさと殺っちまおうぜ」
「もう1度言おう。作戦は頭に叩き混んでおるか?」
「ムフフフフ、例のアレを《隠者》と《戦車》が盗み出すまで、我々は適当に暴れて場を混乱させる事だよねぇ」
「オイちゃんも分かってるよ。ただ相棒が暴走しないか心配で」
「オレも分かってるつぅの。ぶっ殺すぞ、《死神》」
自身の体から様々な武器を取り出し、《死神》に向ける《吊るされる男》。
「くっふふふふふ、そんなもの儂が怖がると思うか?」
「そうだよな。あんたとオレは死なねぇし。わっははははは」
武器を仕舞い、《死神》と共に天を仰ぎ笑い出す《吊るされる男》。
「もう良いかな?」
「チッ、つまんねぇな。少しは笑えよ」
「こんなところでなければ、三人ともデートに誘ってるぞ」
「クズだな」
「クズですね」
内心で精神的ダメージを負ってるが、けして顔には出さない《教皇》。
精神的ダメージを我慢し、メンバーに命令を出す。これが《教皇》が持つ技術の一つの発動条件。
「さぁ行けぇぇぇぇ。そして我らが主、教祖カノン様に勝利を捧げるのだぁぁぁぁぁ」
《教皇》の技術の一つ【命令:士気高揚】が発動した。
対等の仲間内(自分自身も入る)にバフを与えるというもの。これによりステータスだけではなく、魔法や技術にもバフを与える。
一見弱そうに見える技術だが、一般国民が騎士に互角に渡り合える程に強く出来るのだそうだ。
そのバフが与える恩恵は、強い者程に顕著して表れる。つまり、今ここにいる6人に使えば、勇者にも勝てるかもしれない。




